京言葉の語彙集と銘打ってはありますが、必ずしもここに載っている言葉すべてが京都市特有の方言であるとは限りません。
以下の基準のいずれかに該当すれば、「京都の方言」と見なして掲載しました。
従いまして、中には京都以外でも使われる言葉・言い回しが含まれている可能性もあります。
なおこのページのアクセントは、すべて遅上がり反映済みです。
平素、普段のこと。
「鮎」の訛。
あいだのこと。
明るいさま。
元々「あかるい」というのは東日本語で、京都を含む西日本では「あかい」が普通だった。
しかし「空があかい」などというと、「空が赤い」という意味なのか「空が明るい」という意味なのか曖昧となる。そのせいもあってか共通語が普及するにつれ、いつしか京都でも「明るい」のほうが主流となってしまった。
ダメ。「らちがあかん」の略という。
「もうあかんわ。どうしょうもない」「あかなんだら、あかんってちゃんと言いやあ」
北へ行くこと。「上ル」と記す。元々京の北端に御所があったことから言うという。対義語は「さがる【下ル】」
「そのお店やったら四条をちょっとあがったとこや」
口元にできる炎症のこと。
「あくちができて痛い痛い」
味がおいしくないさま。共通語の「まずい」よりは語感が柔らかい。
「なんか今日のみそ汁あじないで」
「味気ない」を強調した言い方。
恨み。妬み。
また「誰々にあたんする」という言い方で、「当たりちらす」のような意味にも使う*4。
甘えん坊のこと。
「あの子はなんぼになってもあまえたやなあ」
「とりあえず今のうちはいい思いをさせておこう」「甘い汁を吸わせておこう」という意味。この言葉が使われる時は、だいたい後でしっぺ返しが来ることを暗示する。
ちなみに「ねぶる」とは「なめる」という意味。つまりこの表現を共通語に直訳すると「飴をなめさせる」となる。
「まあ、今のうちだけあいつに飴ねぶらせといたろやないか」
飴の丁寧な言い方。この手のさん付けについての詳細はこちらをご覧いただくとして、注意すべきは大阪ではこの言葉のことを「飴ちゃん」という風に「ちゃん付け」するのだということ。
「さん付け」と「ちゃん付け」。微妙な差異だけに混同なさらぬよう注意されたい。
「そんな飴さんばっかり舐めてたら、虫歯になるえ」
お餅のこと。ちなみに京都のお餅は普通丸い形をしている。
「あれは」という意味。多分「あれは→ありゃあ→あら」と変化したもの。同類として「こら」・「そら」などがある。
「あら何や?」
乱雑、乱暴なこと。荒い。荒っぽい。
不快感・嫌悪感を伴うていることが多い。
「そんなあらくたい扱いしてたら、お皿割れてまうえ」
取扱いが乱暴なこと。
「これこれ、そんなあらけないことしたらあかんえ」
「いっかい」とも。「大きい」という意味。
ただし今日の洛中では知る人も少なく、もはや廃語同然である(追記・滋賀のほうでは今でも使われているようです)。
なおまったくの余談ではあるが、現代語の「でかい」は、この「いかい」に「ど」のついた「どいかい」が変化したものとのこと。
「ゆがむ」の訛。
「この絵ぇ、なんかいがんでへん?」
下記の「行く」の否定形。東京で言うところの「いけない」に当たる。丁寧語は「いきません」
「いかん、こら失敗やわ」「そんなことしたらいきません」
息苦しい。
カッカすること。「いきり立つ」の「いきり」が、この「いきる」であると言えば通りがよかろう。
「何をあいつは一人でいきっとんにゃ」
上記の「行かん」の対義語。東京で言うところの「いける」に当たる。
「この服の組み合わせ、なかなか行くんちゃうか」
災害が起こることについても「行く」を使う。たとえば「火事が行く」「地震が行く」等。
「行った」に同じ。
上方語では母音が短くなることこそよくあれど、「っ」が抜け落ちるという現象はほとんど例がない。例えば「ウトータ → ウトタ」「センセー → センセ」のような例は珍しくないが、「アッタ→アタ」のような例はない。
そのためこの「行た」は、「行った」の「っ」が抜け落ちたものではなく、「書く:書いた」「泣く:泣いた」など他のカ行5段動詞と同じように、一度「いく」の過去・完了形もイ音便を起こして「いいた」となったものの、発音が不安定であったがために短母音化が起こって「いた」となり、それが化石的に現代にまで残ったものなのかもしれぬ。
単に数字を1から10まで数えるときの言い方であるが、旋律が独特なので紹介する。 音階に直すとこのようになる。
「いちにーさんしー、ごーろくひちはちくーじゅう」
ラソミソラーソー ラーラソラソラソラーミー(最後のミーはミソとも)
隠れん坊で数字を1から10まで数えるときなどに、よくこの旋律が用いられる。
数え歌。「いちにの」は「いちにい」となることもある。
「いちにの」はそのまま「一・二」、「さんまの」で「三(さん)」、「しっぽ」で「四(し)」、「ゴリラの」で「五(ご)」、「むすこ」で「六(むっつ)」、「なっぱ」で「七(なな)」、「はっぱ」で「八(はち)」、「くさった」で「九(く)」、「豆腐」で「十(とお)」を表す。
単なる流行語であった可能性もあるが、昭和50年代に小学生時代を過ごされた方はおそらくご存じであろう。
追補・当サイトの掲示板において、りーさんという方から「昭和58年生まれの自分の周りでも使っていた」という情報が寄せられました。
どうやら平成以降に小学生時代を過ごした方にも通じるようです。
「いちばんに」「真っ先に」という意味。おそらく「いちはなだつ(京都では廃語)」という動詞の活用形が、副詞として残ったもの。
「あの子は家帰ってくると、必ずいちはなだって『おやつちょうだい』言うなあ」
調子に乗ってふざけること。
「そんなとこでいちびってたら、ケガすんで」
全然。まったく。一つも。
後ろに否定語を伴い、「いっこもええことあらへん」などのように使われる。この言葉は普段「一個・二個……」と数えないものに対してでも使える。
「いっこもできてへんやないか」「いっこもええ服あらへん」
みなでタイミングを合わせて何かをするときの掛け声。最後が「せ」ではなく、「で」であることに注意。
「ほな、いっせいのーで、で始めるえ」
東西の通りの一つである「一条」のこと。「いちじょう」が訛ったもの。
(※参照⇒「はっちょう【八条】」/「ひっちょう【七条】」)
「行って」に同じ。「行てくる」「行てきた」のように使われる。
補助動詞「~いる」が付くと約まって「行てる」となることもあるが、これは大阪弁の「いてる(いて+いる=“いる (be)”を二重にした言い方)」とは別語。
「~しなくて」「~しないで」の意味。動詞の未然形につけて「お金が足らいで困った」というふうに使う。
この「いで」というのは、「この恨み、晴らさでおくべきか」などと用いられる「で」が変化したもの。パッと見は共通語の「~ないで」の「な」が落ちただけのようにも見えるが、語源はまったく異なる。
「そんなことも知らいでよう言うわ」「昨日はうかがえませいで失礼しました」
強調語の一つ。おそらく「い(助詞「よ」が転じたもの)」と助詞「な」とが組み合わさったもの。
意味・使い方・接続の仕方などは、文法編の助詞の頁を参照。
「誰がいな」「どこがいな」「書きいな」「食べいな(※タベーナと発音される)」「読んでいな(※ヨンデーナと発音される)」
家に帰ること。また命令形「いね」に限っては「この場から立ち去れ」という意味で使われることも多い。
古典の教科書に「ナ行変格活用『死ぬ・往ぬ』」というのが出てくるが、あの「往ぬ」がこれである。
「さっさと往ね!」「遅なってきたし、ぼちぼち往ぬわ」
子どもが大勢の前で失敗した人を囃すときの歌。一人がこの歌を歌い始めるとだいたい周りも巻き込んだ大合唱となり、失敗した人は余計恥ずかしい思いをする。
ちょっとアクセント符号で表すとわかりにくいかもしれないが、節は、
「いーやーやー、いーやーやー、せーんせーにー、ゆーたーろー」
と言う風に「高-低-高/●○●」を繰り返す。
またこの言葉は変種が多く、私が知っているものだけでも他に「いしゃしゃいしゃしゃ、せんせにゆうたろ」「ゆうたろゆうたろ、せんせにゆうたろ」等がある。
なお音階に直すとこうなる。
「いややいやや、せんせいにいうたろ」
ラソラミレミ ラ ソ ラ ミ レミ
さわること。弄くること。近世語「いろう(弄う)」の転じたもの。
「~ろう」で終わる動詞が「~らう」に転じた例としては他に「ひらう(拾う)」がある。
「割れたビンなんかいろてたら、ケガすんで!」
「魚釣り(さかなつり)」に同じ。
川や海にいる「魚」のことは元々「うお(うを)」と言った。対して「さかな」とは「酒菜」、つまり本来は「お酒のあて」という意味であった。しかし酒のあてとして魚肉がよく使われたことから、いつしか「さかな」が「魚(うお)」の意味も表すようになったという。
この「うおつり」という言葉は、「うお(生きている)」と「さかな(調理済み)」とが区別されていた時代の名残とも言える。
「昨日魚釣りしに、琵琶湖まで行ってきてん」
なくすこと。失うこと。
「いやあ、気に入ってた時計、どっかうしなえたあ!」
「鬱陶しい」の短縮語。「疎い」とは別語。
あまり良い言葉ではないので、連発は避けるほうが好ましい。
「こう毎日、雨ばっかりやとうっといなあ」
「うちとこ」、つまり「うちの家」という意味。ただし父いわく、かなり下品な言葉とのこと。
理解できるけど自分では使わない言葉にとどめておくのがよろしいでしょう。
「うっとこ、昨日新しいビデオ買うてん」
比叡山のこと。
叡山電車の略称・通称。なおこの電車は元々(というてもほんの十数年前まで)京福電車の一部であった。そのためかつては単に「京福」とも呼ばれた。
また更に遡ると、一頃「元田中」駅を挟んで市電との相互乗り入れ運転をしていたこともあるなど、この電車にまつわるエピソードは多い。
(※参照⇒「らんでん【嵐電】」)
味が濃すぎて、喉が変になりそうなさまを言う。
「このラーメン、ものすごえぐい。こんなんよう食べんわ」
しつこいさま。またくどくどしいさま。胸がつかえそうな気分になること。
「なんちゅうえぞくろしい柄した着物や」
吐き気をもよおすこと。この言葉は古典にも登場し、旧仮名遣いでは「ゑづく」となっている。
つまり元々は「うぇづく」と発音されたわけであり……何というか、「そのまま」という感じの言葉である。
「あー、さっき変なもの食べたせいか、えづいてきた」
当然~である、という意味を強調させるとき使い、「えら~」の「~」には動詞の連用形が入る。
「こんなことしたらセンセおこらはるやろか」「えらおこりやで」
あいにく。折り悪く。
この言葉は京ことばの本などでよく「衰退する京ことば」の代表格として取り上げられる。
「えんばんとうちのもんは出かけております」
お尻。
おいでなさい。「おい(で)な(は)い」の()内が略されたもの。
「お菓子あげるし、おいないやー」
ありがとう。「おおきにありがとう」の略。
「いや、これ先に買うといてくれたん? おおきに」
かまどのこと。しかし今や、かまどのある家そのものが珍しくなったためか、この言葉も廃語寸前。
今の伏見区南部から宇治市(元紀伊郡南部から元久世郡北部)にかけてかつて存在した大池。昭和の始め頃に干拓され、現在は大部分が水田となっている。「おぐらがいけ;●●●●○○」とも。
ちょうだい。「おくれなはい」→「おくんなあい」→「おくない」と変化したもの。
上の「おいない」もそうだが、親や祖父母が、子や孫に対して使う場合が多い。
「ちょっとそのお菓子おくない」
たくあんのこと(注・もしかしたらお漬け物全般を指すのかもしれぬ)。
お手玉のこと。「ななこ」とも。
「あんたおじゃみ下手やなー」
「醤油」に「お」をつけた「おしょうゆ」の訛。
「ちょっとそこのおしょい、取ってんか」
意味・用法は「ございます」と同じだが、丁寧度はやや落ちる。「どす・ます」と同程度。大阪では「おます」と言う。
おそらく「おます」が変化した言葉。
「今日は天気がよろしゅおすなあ」「そんなことおへんえ」
「大根」に「お」をつけた「おだいこん」の略。
「おだいのみそ汁、おいしい」
からかうこと。小馬鹿にすること。
「何や、その人をおちょくったような態度は」
お寺の住職。多分「おしょうさん」が約まったもの。
ちなみにおじさんという意味の「おっさん/●●●●」とはアクセントで区別する。
「ほなおっさんがおいなはったら始めますんで」
幼児語で「お座り」のことで、「おっちんする」のように使う。
「あんまりちょろちょろしたら危ないし、そこでおとなしおっちんしとき」
「落ちた」のことをしばしばこう言う。ただし動詞としての原型は「落ちる(1段)」であって「落つ(5段)」ではない。
同様に、「落ちて」もしばしば「落って」となる。
「何かそこに落ってるで」
あごのこと。
東日本では「おととい」と言うが、西日本では普通こう言う。類似するものとして「なぬか(西日本)/なのか(東日本)」
この言葉の語源は「彼方(をと)つ日」であるというので、恐らく東日本の「おととい」という言い方は、「おととし」に引かれたものであろう。
おはぎ餅のこと。これは東京でも使われるが、注意すべきは京都において「お萩」は一年中「お萩」であり、東京における「春はぼた餅、秋はお萩」のような季節による言い換えは、まずせぬということ。
言い換えれば、京都では「ぼた餅」という単語そのものがあまり一般的ではないとも言える。
京都では出かける人を見送る時こう言う。類義語に「気ぃつけて」など。
「ほないてきます」「おはようおかえり」
太陽のこと。「おひさま」「おひさん」ではなく、「おひいさん」と「ひ」を伸ばすことに注意。
「おひいさん、照ったある」
お茶。元はお湯のことも差すが、今日「おぶ」といえばお茶のことを差す場合が多く、お湯のことは「さい(さゆ)」と言う。
「このおぶう、ちょと熱いなあ」
お茶漬けのこと。
「別におぶづけ出したさかいにゆうて、帰ってほしいて思てるわけやないで」
それぞれ「ご覧」「ご覧なさい」にあたる。「おみ」というのは「お」+「見る」の連用形、つまり「おし」とか「おたべ」などと同じ語構成の言葉。「ない」は「なはい」が約まったもの。
「ほらこっち、見とおみ」
余所の家から帰る時に「おやかまっさんどした」という風に使う。「がいがいと騒ぎ立てて、喧しゅうしてすみません」という意味合いの言葉。
おそらく「おやかまし(お喧し)さん」の変化したもの。
意味そのものは「いる」と同じであるが、「おる」には対象を蔑むようなニュアンスが含まれていることが多い。
一般的に、東日本では「いる」が使われ、西日本では「おる」が使われるものと考えられがちであるが、こと京都に限って言えば、「いる」も「おる」も両方使われ、蔑みの気持ちを表すときには「おる」が、それ以外のときには「いる」が用いられる。
この「いる」と「おる」とを使い分ける状況というのは、決して近年の共通語化の影響によるものではない。というのも、近世前半の上方人の話し言葉がほぼそのまま反映されているといわれる近松作品の会話部分でも、「ゐる(いる)」は盛んに用いられていて、上方では近世前半の段階で既に、「いる」が今日と同じように使われていたことが分かる。
なお既述の通り、「おる」には蔑むようなニュアンスが含まれているので、敬意を表す助動詞と組み合わせて「おらはる」「おおりやす」「おおりなさる」などと言うことはできない。この類の助動詞は常に「いる」のほうと組み合わされ、「いやはる」「おいやす」「おいなさる」などと言う。
(※参照⇒「侮蔑語」)
動物や昆虫の「雄(オス)」のこと。
(※参照⇒「めん【雌】」)
「カブトムシのおんとめん(雄と雌)」
近所の人の目につくこと。ご近所の噂になること。
京都で暮らしていて、もっとも怖いのがこの「顔がさすこと」である。
「町内で顔さすようなことせんといて。恥ずかしい……」
におい。香り。
「ええかざが漂うてくんなあ」
(米を)研ぐごと。
なお地域によっては米を水に浸すことについてもこの言葉を使うらしい。
カツラのこと。2拍目が濁るのが共通語のそれと異なる。
「~であっても」「~であったとしても」という逆接の仮定を表す助詞。
(※参照⇒「そやかて」)
「猫なで声出したかて、あかんというたらあかん」
京都では住所を表すとき交差点を基点とするので、「四条河原町の東南角(ひがしみなみかど)」などという言い方がよくなされる。
この「~角」という言い方をする時は、「東西南北」の順に方角を並べるという暗黙の規則がある。従って「南西角」とは言わず「西南角(にしみなみかど)」と言い、「北東角」ではなく「東北角(ひがしきたかど)」と言う。
「かなわん/●●○○」が約まったもの。
「あの人、また約束破らはった。かなんわあ」
「かにここ約束に間に合うた」
東京では「蚊に刺される」「蚊に喰われる」と言うが、京都では「蚊に噛まれる」と言う。
理髪師のこと。
京ことばにはこの手の「ゆ」→「い」という変化がよく見られる。
京都の中心部を北から南へ流れる川の名前。
古来「かも」の表記には「鴨」「賀茂」「加茂」など様々なものが併用されてきたが、現代では高野川との合流地点より上流部分を「賀茂川」、下流を「鴨川」とするのが普通。
なお先述の合流地点付近には「かもおおはし」という橋が掛かっているが、これは「加茂大橋」と書き表される。
「~かもしれない」の意。「~かもしれん」に同じ。
「言われてみたら、そんなもんなのかもわからんな」
借りること。京都に限らず、西日本では「借りる」ではなく「借る」が本来の言い方。
数多の古典文献が示す通り、この言葉は「借る」と言うのが、かつての日本語では普通であった。
しかし中世以降、それまでは「かうぃた」と発音されていた「買う」の過去(完了)形を、西日本では「買うた(こうた)」と言うようになったのに対し、東日本では「買った」と言うようになったので、東日本では「買う」と「借る」の過去(完了)形が、ともに「かった」で同音になってしまった。
「買う」と「借る」の過去(完了)形が同音では、商売上においても、人と物を貸し借りする際においても、不都合なことこの上ないので、やむなく東日本では「借った」のことを「借りた」と言いかえることにより、「買った」と言い分けるようになったという。
このような経緯の末、今日のような「西日本の『借る』」対「東日本の『借りる』」という方言対立ができたという。
「あの本ほしいけど買うたら高いし、図書館行って借ってくる」
気を回す。勘を働かす。
「そんな勘くってばっかりいたら、疲れるえ」
きなくさい、焦げ臭いさま。
「ん、かんこくさいで。なんか焦げてへんか?」
出かける人を見送る時に言う言葉。類義語に「おはようおかえり」など。
春菊のこと。京都では普通こう言う。「春菊」では運が悪いと通じないことも。
しめさばのこと。「すし」という言葉が入ってはいるが、別にしゃりに乗っていずとも良い。
「このきずし、何か怪しい色してへん!?」
「着せる」に同じ。
なおこの言葉は「他人を自分の傘に入れてあげる」という意味や「布団や毛布をかけてあげる」という意味でも用いる。
(※参照⇒「きる【着る】」)
「かわいそうにこの雨の中、濡れたはるがな。傘を着したげ(着せたげ)」「あの子、また布団はねのけてる。着したげて(着せたげて)」
すまない、申し訳ないという意味。二語に分解して「気が‐術ない(きいが‐ずつない/●●●‐●●○○)」とも。
「先度はきずつないこといたしまして」
「きつうきつう」の短縮形。「とても」や「ものすご」等と同様、強調の副詞として使われる。
尽力すること。頑張ること。
「そんな気張ってべんきょしてたら倒れるで」
たくさん。「ようけ」とも言う。
「また、えろう仰山買うてきたなあ」
共通語より用法が広く、「帽子を着る」「布団を着る」という言い方もできる。更に昔は、もっと用法が広かったらしい。
考え方としては、「上半身に着けるものなら『着る』、下半身に着けるものなら『穿く』」といったところか。
(※参照⇒「きす【着す】」/「はく【穿く・履く】」)
「食うた」に同じ。
(※参照⇒「いた【行た】」)
~ごと。~全部。
「このリンゴ、皮ぐち食べられる」
「甘鯛」のこと。某料理番組で解説者がよく使っていたので、ご存じの方も多いか。
「このぐぢ、ものすごおいしいなあ」
大勢を二組に分ける時の特殊なジャンケン。
かけ声とともに皆一斉にそれぞれジャンケンの「グー」か「パー」かを出し、グーを出した人とパーを出した人とが同数だったら、そのままグーを出した人たち同士・パーを出した人たち同士がそれぞれ組をなす。
具合が悪いこと。おそらく「ぐつ=具合」という意味であろうが、「ぐつ良い」とは言わない。
「なんか話聞いてると、ぐつわるいことになってきたなあ」
けったくそとは胸くそのこと。つまり「けったくそわるい」とは「胸くそが悪い」の意味。
「あの人の顔を見るだけで、けったくそ悪うなってくる」
奇妙なさま。不思議なさま。
「何をそんなけったいな顔してんの」「けったいな色した服やなあ」
うらやましい。「けなりい」とも。
古語「異(け)なり」から派生した言葉といい、京都のみならずかなり広い範囲に分布しているという。
「豪華な家を建てはって、けなるいこっちゃ」
カブトムシのオスのこと。メスは「ぼーず」
「俺のげんじの方がおまえのより大きい。ええやろ」
20110501追補・メールにてかぼちゃ大王さんという方から、向日及び左京岡崎でクワガタムシの意味で使われていたという情報をいただきました。
文献を当たってみますと、まず井之口有一・堀井令以知氏による『京ことば辞典』では「ゲンジ=カブトムシのオス」とされています。また中井幸比古氏のアクセント資料でも「ゲンジ=兜虫の雄」として見出しを立てたうえで聞き取り調査が行われ、旧市街の方13人はこの意味でアクセントを回答、京北の方1人は「ゲンジ=クワガタムシ」として回答、他、旧市街の方1人と野洲の方1人が「どちらの意味でも使わず・該当する言葉を知らず」と回答なさっています。
以上のことから旧市街ではカブトムシのオスが本来の意味であると見て良さそうです。
ただ近年はゲンジ=クワガタムシ派も一定の広がりを見せているようで、堀井令以知氏が2006年に出された『京都府ことば辞典』では、カブト・クワガタ併記となっています。ある地域またはある世代を境に「げんじ」の意味は変わってしまっている可能性があります。
がっかりする。脱力する。
「ちょっと心配したさかいにいうて、そんなげんなりしてたらあかんえ」
しあさっての次。「四」の次なので「五」ということらしい。冗談のようだが、いたって真面目な語。
里芋のこと。「里芋」と言うと、京都では通じにくい。
地味な、質素な。地味といっても上品な地味さのことをいい、悪い意味はない。派手の反対語。
「こらまたずいぶんこうとな着物で」
くすぐったい。
「あー、なんかさっきから鼻がこそばゆうてしゃあない。風邪でも引いたんかな」
「こそばい」に同じ。
こどものこと。丁寧に言う時は「お子たち」
「子ども」の「ども」は、元々「ものども」や「きさまども」など卑しめの意味を持つ接尾語「ども」に由来するため、京都ではそのような接尾語の付いた「子ども」という言葉を避けて、「子たち」という伝統がある。
「門で近所のお子たちが遊んだはって、やかましやかましい……」
先の尖ったもので突っつくこと。「つ」が濁らぬことに注意。
「指でこつかんといていな。気色悪い」
「ご馳走」の訛。
「いや、今日はえらいごっつぉやな」
「ご馳走様」の訛。
「ごっつぉはんどした」「よろしゅうおあがり」
応仁の乱のこと。京の街は太平洋戦争では殆ど焼けなかった(爆撃そのものはあった。一般的にはあまり知られていぬようだが)ため、「京の街を焦土と化すほどの大戦」と言うと、応仁の乱まで遡ってしまう……という一種の冗談。
毎月の「五日・十日・十五日・二十日・二十五日・三十日」のこと。
この日は集金で道が混むと言われている。
「こんぶ」に同じ。
こむらがえり。「こぶら」とはふくらはぎの古語。
古語辞典ではたいてい「こぶら」のほうで見出しが立っているので、恐らく「こむら」の方が「こぶら」の訛ったもの。
ごみのこと。ちなみに「ゴミ箱」は「ごもく入れ/○○○●○」と言う。
「これは」という意味。多分「これは→こりゃあ→こら」と変化したもの。同類として「あら」・「そら」などがある。
「こらなかなかええもの見つけてきやはりましたな」
五合(ごごう)のこと。よく「五合炊き(ごんごうたき)」という言い方で用いる。
「ゴボウ」の訛。
いわゆる「はじめの一歩」に同じ。
余談だが、私の住んでいた地域では、「さいしょのだいいーっぽ」と言いつづけている間は何歩でも前に進むことができるという、とても愉快かつ厄介なルールがあった。それゆえに「はじめのいっぽ」より字数の多い「さいしょのだいいーっぽ」のほうが好まれたのかもしれない。
さっき。今し方。
「さいぜんからそう言うてますがな」
順接の助詞。東京語の「~から」に当たる言葉。
最近では洛中でも「~やから」「~するから」と順接に「~から」を使う人が増えてしまったが、古くは「京の『~さかい』対江戸の『~から』」と言えば、有名な方言対立だった。
なおこの言葉、近畿周辺だけのものと思われがちだが、実際は「さけ、はかい、はけ……」などの変種が、滋賀から北陸へ抜けて新潟・秋田・青森にいたるまで、かなりの広範囲に分布しているという。
「これあげるさかい、こっちへおいない」
逆さま。
南へ行くこと。「あがる」の反対語で、「下ル」と記される。
「今出川をちょう下がったとこに住んでます」
「寒い」の訛。この手の「バ行←→マ行」の交代はよく見られる。
鳥肌のこと。
「うー、寒うてさぶいぼ立ってきたー(“出てきた”とも)」
相槌。「そうか」に同じ。「さようか」の略。
乱暴な言い方として「さよけ」というのもある。
お皿や鍋に残ったものを全部引き上げ、食べてしまうことを「さらえる」という。
「これ、中途半端に余ってんにゃわ。だれかさらえてしもて」
人にものをあげる時などに「これ、ざんないものどすけど……」という風に使う。
一種の常套句なので、本来の意味や他の使い方があるのかは不明。
順接の助詞。「~さかい」に同じ。
この助詞を順接の意味で用いるのは、関西一円の中でも京都ぐらいのものであるという。共通語化の波を被って個性を失いつつある現代の京都言葉において、これは非常に珍しい。
「あ~あ、壊してしもた。無茶をするしや」
(良い意味で)しっかりしたさま。きちんとしたさま。
「しかつべ(め)らしい」から。
「年の割にしかつい子ぉや」
8月、大文字(8月16日)の1週間後頃に開かれる子どものためのお祭り。
うどんの一種。蒲鉾や卵、椎茸や葉っぱものの野菜などを具とする。
主に移動に関係する動詞の連用形に付けて「~する時に」という意味を表す。代表的なところでは「来しな」「行きしな」「帰りしな」「ししな」等。なおこれは短縮されて「行きし」「帰りし」ともなる。
「ほな帰りしなに寄ってくるわ」
意味としては「叩く」だが、ニュアンスがちょっと異なる。だいたい「はたく」と「たたく」の中間ぐらいといった感じ。
「べちべちべちべち人のこと、しばきなさんなや」
おしまい。終わり。
ちなみに東京で言うところの「しまう」は、京都では「直す」というので意味は衝突しない。
「今日はもうそろそろしまいにしょうな」
雨がじゃあじゃあと音を立てて降ること。「ざざ降り」に同じ。
「出かけようと思うた日ぃに限ってじゃじゃ降りや」
「味もしゃしゃりもない」の項参照。
東京でジャンケンをするときのかけ声は「じゃんけんぽん、あいこでしょ」だが、京都では「じゃんけんでほい、あいこで‐ほい/低低中中‐高高」
ちなみにこれを音階に直すと、
「じゃんけんでほい、あいこでほい」
ラ ソミソラシラ ミ ソソ ラ
となる。
なお「じゃんけん」を、「じゃいけん」と言う人もある。
「じゅんさいな人」で、「いい加減な人。調子の良いだけの人」というような意味を表す。
ジュンサイとは深泥池(みどろがいけ)などに生えるぬるぬるとした食用草のことで、もとは「(ぬるぬるとしたジュンサイのように)つかみ所のない人」のことを「ジュンサイな」と言ったという。
「塩辛い」の変化したもの。東日本でいう「しょっぱい」にあたる。
「この肉、ものすごしょっからいなあ」
あぐらのこと。あぐらをかくことを「じょろ(を)組む」という。
「女の子が人前でじょろなんか組みなさんな」
何か失敗した相手を「私は知らん。関係ないさかいな」と突き放す時、言う言葉。
恐らく「知らぬべい」が訛ったもの。
(※参照⇒「やんぺ」)
「あ~あ、ガラス割ってしもた。ワシ知いらんぺ」
今や共通語化したので説明の必要もないと思われるが一応。だるいさま、疲れたさまを言い表す言葉で、「心労」を形容詞化した言葉だと言われている。
「ああしんど」
新聞紙(し)のこと。ただし「しんぶんがみ」と言う時は、読むためのものとしてではなく、物をくるんだり包んだりする用途を念頭に置いていることが多い。
酸っぱい。一見すると短縮語のようだが実はその逆で、元は「酸っぱい」の方が「酸い」の強調語。
「このみかん酸いわ」
さんざん。あれほど。長きにわたって。
「せんど言うといたのに、結局何も聞いてなんだんやな」
こないだ。先日。
「先度はえらいお世話かけました」
ゆっくり、かつ慎重に。
「そこはそうろと歩きなさい」
蕎麦粉から作ったほのかに甘い焼き菓子。花びら型をしていて真ん中に穴が開いている。「ぼうろ」はポルトガル語の "bolo" に由来。
ぼうろの仲間としては「衛生ぼうろ(衛生ボーロ)」というお菓子も存在する。
東京語の「だって」に当たる言葉。「~だとしても」
(※参照⇒「~かて」)
「そやかて、変なこと言わはるさかい、ついしばいてしもたんや」
東京語の「だから」に当たる言葉。「そやし」に同じ。
「そやさかい、やめといたらよかったのに」
東京語の「だから」に当たる言葉。「そやさかい」に同じ。
「そやし、ジッとしときって言うてるのに」
「それは」という意味。多分「それは→そりゃあ→そら」と変化したもの。同類として「あら」・「こら」などがある。
「そら、そんなことするほうが無茶やで」
意味そのものは共通語と同じだが、「炊く」と「煮る」の境界が微妙に異なっている。
たとえば「こいも(里芋)」や「大根」は、東京では「煮るもの」であるが、京都では「炊くもの」であり、「こいもを炊く」「大根を炊く」と言う。
「このこいも、なんか炊き方が足らんのと違う?」
「たすけつかまえ」とも。「どろじゅん」に同じ。
「たぬきうどん」の略。この“たぬきうどん”というのは、きつねうどんにあんかけを加えたもののことであるが、どうやらこれは京都にしかないらしく、大阪人や神戸人に“たぬきうどん”と言ってもまず通じない。
「たずねる」の訛り。
お風呂のこと。
「ちゃいちゃい入って、ぽんぽんしょうな」
「という→ていう→ちゅう」と変化したもの。ただしこれはどちらかというとやや大阪弁的で、京都では「と」の落ちた「~ゆう」か、「~てゆう」のほうが優勢。
「言われいでもするっちゅうに」
ちょっと。「ちょい/●○」とも言う。
「ちょう面白い」という言葉は、東京では「とても面白い」の下品な言い方だが、京都では「そこそこ面白い」の意味となり、全く逆の意味になる。
「ちょう待っていなー」「あとちょう頑張ったらしまいや」
じゃんけんの「ちょき」のこと。
しゃがみ込む。この言葉は変種が多く、見出しに掲げたものの他にも「ちょちょこぼる」「ちょつくぼる」等がある。
「こんな人通りの多いとこでちょちょこばりなさんな。みっともない」
どっちもどっち、五十歩百歩。
「この絵とこの絵、どっちがうまい?」「ちょぼちょぼやな」
ちり紙(ちりがみ)のこと。新聞紙(がみ)とも。
「ちょっとちり紙2~3枚持ってきて」
釣り合いが取れていないこと。周りに調和していないこと。
「和室にこんなもん置いたかて、つろくせんの、わかりきってるがな」
東京語の「よ」に当たる助詞。「ぜ」が訛ったもの。語気が強いため、女性(特に年配の)は「~え」のほうを使う。
使い方や接続の仕方は文法編の助詞の頁を参照。
「できる」の訛。
「なんぼ言われたかてでけんものはでけん」
京の南北の通りを東から西へ並べた歌。ただし現在では知る人ももはやなく、記録として残されているばかり。私の知る限り、歌詞には以下の二通りがある。
寺(てら)・御幸(ごこ)・麩屋(ふや)・富(とみ)・柳(やな)・堺(さか)、
高倉間(たかくらあい)の、東(ひがし)に車(くるま)、
烏丸(からすま)・両(りょう)が、室(むろ)・衣(ころも)、
新釜西(しんかまにし)、小川(おがわ)・油(あぶら)、
醒(さめ)・葭屋(よしや)、猪熊黒(いのくまくろ)、大宮(おおみや)、
松日暮(まつひぐら)しに、智恵光院(ちえこういん)、
浄福(じょうふく)・千本(せんぼん)、はては西陣(にしじん)
テラ・ゴコ・フヤ・トミ・ヤナ・サカ・タカ
(寺町通・御幸通・麩屋町通・富小路通・柳馬場通・境町通・高倉通)
アイノ・ヒガシに・クルマ・カラスマ
(間之町通・東洞院通・車屋町通・烏丸通)
リョウ・ムロ・コロ・シン・カマ・ニシ・オガワ
(両替町通・室町通・衣棚道・新町通・釜座通・西洞院通・小川通)
アブラ・サメ・ホリ・ヨシヤ・イノ
(油小路通・醒ヶ井通・堀川通・葭屋町通・猪熊通)
クロ・オオミヤ・マツ・ヒグラシに・チエコウイン
黒門通・大宮通・松屋町通・日暮通・智恵光院通
ジョウフク・センボン・はてはニシジン
浄福寺通・千本通・西陣通(ママ)
いずれも旋律は不詳。
某銀行がCMで流していた歌では、このどちらとも異なる歌詞が使われている。おそらく「まるたけえべす」の節にあわせるための措置なのであろうが、それにしても歌詞の最後が「さては西陣」となっていたのは不可解である(あるいは「はては」が「(町の)果ては」であることに気づかなかったか。「京の旧市街地」も参照)。
(※参照⇒「まるたけえべす」)
逆さま。入れ替わっていること。
「あれ、いつの間にかスリッパがてれこになってる」
揚げ玉のこと。「天ぷらのカス」を約めて「天かす」
同志社大学の学生さんのこと。
共通語の「です」にあたる助動詞。「~で‐おす」が約まったものという。なお「おす」については「おす」の項を参照。
今日では「祇園の舞妓さんが使っている言葉」というイメージが強いこともあってか、
女言葉だと思われがちだが、元々は老若男女問わず広く用いられた。
なお共通語の「です」は形容詞にも付くが、京言葉の「どす」は普通形容詞には付けない。
×青いどす → ○青(う)おす
助動詞「どす」や「ます」の後ろに助詞が続くと、「す」が「ふ(唇ではなく喉の奥で発音する「ふ」)」のような音に変化し、しばしば「どふか」「まふか」となる。
どーんと突く。殴りかかる。
「いったいなあ。いきなりなにどついてくんにゃ」
「べったこ」に強調の「ど」が付き、さらに省略されたもの。
「いや、僕がどべかいな」
ぬか漬けのこと。どぶ漬け。
「灯す(ともす)」に同じ。
「とぼった、とぼった、大文字(さん)がとぼった」
「灯る(ともる)」に同じ。
「どれにしょう」ではなく「しよう」、そしてアクセントが完全な東京式であることからいっても、明らかに東京(もしくはその近郊)発祥の遊びであろうが、これに続く言い方が他の地方と異なっているようなので記しておく。
京都では「いうとおり」のあと、「プッとこいてプッとこいてプップップッ」と続くことが多い。
この「こく」というのは、「嘘をこく」などという時の「こく」で、即ち「プッとこく」とはおそらく「プッと吹き出す」という意味。
いわゆる「けいどろ/どろけい」のこと。
鈍くさいの鈍。「鈍なことをする」という風に使う。
「鈍なことしまして、えらい申し訳ございません」
ドジなさま、にぶいさま。
「あんなとこでコケるなんて、どんくさいやっちゃなあ」
突き当たりのこと。「どーんと行った突き当たり」から来たらしい。冗談のような話ではあるが、言葉そのものはいたって普通に使われる。
「あこのどんつきの家、今度取り壊すんやて」
しまうこと。
「はい、使うたおもちゃ、ないないしょうな」
東京でいうところの「ビニール袋」に同じ。
共通語同様「修理する」という意味もあるが、「しまう・かたづける」という意味もあり、日常では後者の意味で使われることが多い。
そのため京都人に、修理を依頼するつもりで「直しといて」とだけ言うと、そのままどこかへ片づけられてしまう可能性大なのでご注意を。
「この掃除機、邪魔やしちゃんと直しとして」「借ったら返す! 使こたら直す!」
「撫でる」の訛。
江戸時代の一時期、「ザ行」と「ダ行」との区別が曖昧になったらしく、この手の「ザ行←→ダ行」の混同の痕跡が、現代においてもたまに見られる。
(※参照⇒「のぞ」)
「ちょっと、背中をなぜてくれへんか」
おじゃみ(お手玉)のこと。
「七個ないななこなんてななことちゃうがな!」
これも東西方言で対立する語。東日本では「なのか」と言われるが、西日本では「なぬか」と言う。類語に「おとつい(西)/おととい(東)」など。
私見だが、古い文献ではもっぽら「なぬか」の方が使われているので、「なのか」という言い方は、「七(な)の日(か)」と誤って解釈されたものであろう。
身なりのこと。
「そんなアホみたいななりして、近所歩かんといて」
「~なの」の訛。性別問わず使われる。
言い切りの意味で使われることは稀で、たいてい質問文として、語尾を上げながら発音される。
「そうなん?」「本真なん?」
「なぜか」に同じ。
「なんでか知らんけど、ここから水が漏るにゃわ」
においを嗅ぐこと。恐らく「匂う」と「嗅ぐ」の合成語。
「くんくんくんくん何でもにおぎなさんなや」
東西の通りを西へ行くこと。また交差点を西に折れたところのこと。「西入ル」と記す。対義語は「東入る」
ゆで卵のこと。『京ことば辞典』によれば、「煮抜く」から来ているという。
互いににらみ合い、先に笑った方が負けになるという遊び。にらめっこのこと。
側、傍ら、近く、近所、という意味。
「もう、人のねき来て大きな声出さんといて」「今度うちのねきにコンビニできてん」
「なめる」という意味。「飴をねぶらす」という表現でよく用いられる。
「歩きながら飴ねぶってたら、のどにつまんで」
「眠る」という言葉は、京都ではやや文章語的な響きがあり、日常ではこの「寝る」が「眠る」の代わりによく使われる。
「あの子、よう寝てるわ」
「のど」のこと。
市内にはどっちがどっちの訛なのか区別がついていぬ人が結構いるようで、耳鼻咽喉科の看板にもたまに「みみ・はな・のぞ」と書かれていることがある。
(※参照⇒「なぜる」)
「うー、風邪引いてのぞが痛いー」
東京では「パーマをかける」と言うが、近畿では「当てる」と言う。
この言葉は腰から下に着用するものに用いるのが普通だが、まれに腰から上に着用するものにもこの言葉を用いる人がいる。「手袋をはく」等。
但し好ましくない用法なので、ご自身では使われぬようご注意を。
(※参照⇒「きる【着る】」)
すばしっこい。頭の回転の速さについても言う。
「今、声がした思たら、もういやへん。ホンマにはしこい子ぉやわ」
台所のこと。
徒競走、かけっこのこと。
「運動会の中で走りがいちばん苦手やわ」
盗むこと。
「人のもんパチったらあかん」
汚いさま。
「ほら、そんなとこ裸足で歩いたらばっちいえ」「ああ、ばっち」
東西の通りの一つである「八条」のこと。「はちじょう」が訛ったもの。
(※参照⇒「いっちょう【一条】」/「ひっちょう【七条】」)
大便のこと。「猫ばば」の「ばば」がこれ。
話は逸れるが、この言葉と同音になるのを避けるためか、京都では地名や人名の「馬場」を「ばんば」と読むことが多い。
「ちらし寿司」のこと。
「やっぱりおばあちゃんの作るバラ寿司はいちばんやわ」
敬意を表す助動詞。語幹が1拍の動詞に付くときは「やはる」とも。
詳しくは「1-10 敬語と侮蔑語」を参照。
上品な華やかさ、明るさを表現する言葉。
元々「華(花)」を語源とする言葉であるという。
「いや、その服えらいはんなりしててええなあ」
東西の通りを東へ行くこと。また交差点を東に折れたところのこと。「東入ル」と記す。対義語は「西入る」
「七」の訛。また「質」の訛。
特に「七」の方は、京都では「ひち」と発音する方が普通。
東西の通りの一つである「七条」のこと。「ひちじょう」とも。「しちじょう」→「ひちじょう」→「ひっちょう」と訛ったもの。
市バスでは「七条」を「ななじょう」と呼んでいるが、これは恐らく車内でのアナウンス時に「いちじょう」との聞き違いを防ぐために市バス独自に行っているもの(「一条駅」がなく聞き違える恐れがない京阪電車では、「しちじょう」と呼んでいる)。
(※参照⇒「いっちょう【一条】」/「はっちょう【八条】」)
くっつくこと。
「何か背中に引っ付いてんで」
ほんのまぐれで事がうまくいくこと。
「ようあの試験受かったなあ」「拍子のひょこたんや」
将棋の歩(ふ)のこと。
「そんなにひょこを粗末にしてたら、勝てんで」
「拾う」の訛。
「はらう→はろうた」「ならう→なろうた」等からの類推で、過去形「ひろうた」から誤った現在形「ひらう」を導き出したものか。
元々「~ろう」で終わる動詞が「~らう」に転じた例としては他に「いらう(弄う)」がある。
「この時間、タクシーひらうのは大変やで」
がんもどきのこと。ポルトガル語の "filhos" から来た言葉という。
この語は変種が多く、他にも「ひりゅうす・ひろうす」など。
助動詞「へん」に同じ。“いの段”で終わる動詞に付くとき、「へん」は「ひん」になる。
(※参照⇒「~へん」)
「目覚ましが鳴っても全然起きひん」
「×」という印のこと。「○」の対義語。京都で「バツ」と言えば普通「罰」の意味。
「これから言うことに、丸かペケかで答えてください」
イワシの糠漬けのこと。サバのことも。
ご飯と非常によく合います。
「べべ」の項参照。
「~もへっちゃくりも」の形で用いる。「~もへったくれ」に同じ。
(他人の取り分を)かすめ取ること。上前をはねること。「へそる」とも。
また桂のアラQ様という方からお寄せいただいたお話によると、「炊飯器の蓋や釜の底についたご飯粒をきれいに取ること」という意味もあるそうです。なお舞鶴ご出身の奥様は「へしる」と仰るそうです*1。
順番が最後になることを「べべになる」と言う。類義語に「べべた」・「べったこ」など。
「いーや、また走りでべべになった」
「べべ」の項参照。
否定の助動詞。語幹が“いの段”で終わる動詞に付くときは「ひん」となる。また、語幹が1拍しかない動詞に付くときは「やへん」とも。
詳しくは「1-4.動詞」を参照。
拗ねること。ヤキモキすること。
カブトムシのメスのこと。なおアクセントは●●●型であるとする書もある。
カブトムシのオスは「げんじ」と言う。
「ぼーずって、ゴキブリみたいであんまり……」
捨てる。
「走りのごもく、ほかしといて」
つぶやく。ぶつぶつ言うこと。
「さっきから何ぶつぶつほざいてんにゃ」
たわむれること。
疲れたとき、一仕事終えたときなどに言う言葉。「ああ、しんど」「ああ、疲れた」などと同類。
最近では「ほっと一息つく」という意味で使われることもあるが、これは誤用。恐らく「ホッとする」という表現と語感が似ているせいで、意味が誤解されたもの*7。
「ああ、ほっこりした」
東京の「ダルマさんが転んだ」にあたる言葉。「ぼんさん」とは「坊さん」のこと。最後の「こいた」の部分は「こいだ」となることもある。
この言葉は「ダルマさん」同様10文字だが、これの20文字バージョンとして「ぼんさんが屁をこいたら、においだらくさかった」というのもある。なお「においだら」については「におぐ」の項参照。
「本当」に同じ。
「あの人の言うてることって、本真のこと一割もあらへんしなあ」
「本物」に同じ。
「これって本真もんのダイヤなん?」
「~してしまう」などの「しまう」は、「し」を落として発音されることが日常会話では非常に多い。
~(して)もうた/●○○、~(して)まわん/●●●、~(して)まわへん/●○○○と活用させる。
「言うてまうで」「見てもうた」「早いことしてまわんと遅れるで」
真っ赤っか。「真っ黒け」や「真っ白け」と韻を踏んだ言い方。
「夕日で空が真っ赤いけや」
こくがあり、風味深い味のこと。
NHKの某アニメの影響か、「ゆったりする・くつろぐ・のんびりする」というような意味でこの言葉が使われることが多くなってしまったが、本来は味覚について述べる言葉。
「なかなかまったりした上品な味どすな」
言葉そのものは共通語のそれと同じだが、「まつり」という言葉から想起されるイメージが若干異なる。
おそらくたいていの地域の方は、「祭」といえば、「大勢で御輿を担ぎ、威勢よく町内を巡り歩く」といった類の、躍動感あるイメージを思い浮かべるところであろうが、京都の「祭」は、「平安貴族の格好をした人たちが笛や太鼓を打ちならしながら、ゆっくりゆっくりと街中を練り歩く」という、きわめて静的なイメージが強い。
弁償すること。「まどす」に同じ。
「あんだが壊したおもちゃ、ちゃんとまどてもらおか」
弁償すること。「まどう」に同じ。
「真似しい」が約まったもの。何かにかぶれていることや、そういう人のことを言う。
なお囃し立てる時は「まねしまんざい/○●○●●●●」とも言う。
「何それ。あの人のまねしやないか。まねしまんざい!」
京の東西の通りを北から南へ並べた有名な童歌。「まるたけえびす」とも。
「まるたけえべすに・おしおいけ・あねさんろっかく・たこにしき・しあやぶったか・まつまんごじょう」という。
これは北から「丸太町通・竹屋町通・夷川通・二条通・押小路通・御池通・姉小路通・三条通・六角通・蛸薬師通・錦小路通・四条通・綾小路通・仏光寺通・高辻通・松原通・万寿寺通・五条通」の頭文字を取ったもの。
かつてはこれに対して、南北の通りを歌にしたものもあったという。これは「てらごこふやとみ」の項を参照。
近年、五条より南の通りも含めた「まるたけえべす」が流布しているが、これには次のような不審点がある。
おそらく五条以南の歌詞は比較的最近に付け足されたものであろう。
筋肉が疲労してこわばり痛むこと。筋肉痛になること。
「昨日久しぶりにスポーツしたせいか、今日は身ぃいってかなん」
どらやきのこと。
和菓子の名。ういろうに粒あんを錬り込んだような感じのもの。その名の通り六月のお菓子。
順番を決める時の特殊なジャンケン。
みんなで輪になり、この言葉を唱えながら各自グー・パー・チョキを思い思いに出し、独りだけ異なるものを出した人を起点にして、そこから時計回りに順序を割り振る。
なお「みんぎり」とは、「右」という意味する近世語「みぎり」の訛ったものと思われる。
「ほなみんぎりまわりで順番きめよか」
「あらけない」と同義。
「むずかしい」に同じ。「つ」は濁らない。
「またむつかしいこと言わはるなあ」
「むずかる」に同じ。「つ」は濁らない。
ものもらいのこと。「めぼ」とも。大阪では「めばちこ」というらしい。
なかなか寝付かぬさま。また、なかなか寝ようとせぬことについても言う。
「子どものくせに目が固いやっちゃ」
動物や昆虫の「雌(メス)」のこと。
(※参照⇒「おん【雄】」)
「もらう」の過去・完了形「もろうた」が、「もろた」を経由してさらに訛ったもの。東京で言うところの「もらった」に相当する。
「おばあちゃんにこれもうたー」
補助動詞「~しまう」の過去・完了形「~しもうた」の省略形。「~してもうた」の形でかなりよく使われる。
「~してしもうた」という言い方は、この「~してもうた」という略し方の他に、「~してしもた」という略し方もされる。
しかしいずれにしても、「しもうた」の部分が3拍未満になるような略し方(例えば「~してした」や「~してもた」等)はしない。
(※参照⇒「~まう」)
「この本、ゆうべ一気に読んでもうた」「いっぺんに食べてもうたら、後でおなか減んで」
「舞う」の過去・完了形。
「この部屋、無茶苦茶ほこりがもうてるがな。ちゃんと掃除してんの?」
垢抜けせぬさま。
「なんかあんた、今日のかっこもっさいなあ」
断定の助動詞。共通語の「だ」にあたるもの。
(※参照⇒「断定の『や』『にゃ』」)
「~では」が、「~では」→「~じゃあ」→「~じゃ」→「~や」と変化したもの。
ただしこの意味の「や」は、後ろに「ない」または「ない」と同じ意味の言葉(あらへん・おへん等)が続くときのみ使われる(それ以外の時は「じゃ」)。
「それやない」「それやあらへん」「それやおへん」
お灸のこと。
「あんまり悪さばっかりしてたら、やいと据えるえ」
無茶して人に迷惑かけること。
「ほんまにいつまでたっても、やくたいなお人やわ」
接頭辞「お」+動詞連用形+この「やす」で、敬意表現をなす。
命令形「やす」には助詞「や」が添えられることも多く、その際は約まって「やっしゃ」とも発音される。
「ごめんやす。おいやすか」「どうぞ、見しとくれやっしゃ」
下品な、品のないさま。
「あの人は、なんちゅうやすけないなりしたはるんや」
めかし込んだ人のこと。動詞形は「やつす」
めかし込むこと。
(※参照⇒「やつし」)
「そんなにやつしてどっかええとこでも行くん?」
「~なの」の意味。「~なん」とは異なり、言い切り・質問どちらにも使われる。
「そやの?」「これやっていうたらこれやの!」
助動詞「はる」の、語幹が1拍しかない動詞に付くときの形。
(※参照⇒「~はる」)
「寝やはる」「出やはる」「こっちへ来やはる(きやはる)」
助動詞「へん」の、語幹が1拍しかない動詞に付くときの形の一つ。
(※参照⇒「~へん」)
「見やへん」「出やへん」「いやへん」
将棋の香車のこと。前方にしか動けない代わりに遠くの敵でもまっすぐ槍のように射抜くという、その動きからこう言うらしい。
「いやっ、角の頭にやり打たれた!?」
それぞれ「~やない」「~やないか」の短縮形。反語的感嘆を表現するときに使われる。
(※参照⇒逆語彙集「うそやん」)
「なかなか絵ぇ上手やん」「ものすごうおいしいやん」
大勢で遊んでいて、そこから抜ける時に言う言葉。こういう場合、最初に誰かが「一やんぺ(いちやんぺ)」と言うて抜けると、だいたい誰かが「二やんぺ(にいやんぺ)」「三やんぺ」と続けて、その遊びはお開きになる。
おそらく「止むべい」の訛。
(※参照⇒「知いらんぺ」)
「やんぺ! これ遊んでてもあんまり面白ない」
初夏から夏にかけて、鴨川縁にある飲食店が川辺に張り出す縁側部分のこと。ここでご飯を食べるのは一種のステイタスとなる。
たくさん。「仰山」に同じ。
「そんなようけ食べたらお腹壊すえ」
たくさん。「仰山」の訛ったものか。もしくは「仰山」が「ようけ」の影響で変化したものか。
「ようさんの人が集まったはる」
選び取った後に残るくず。残りかす。
補助動詞「おる」が、動詞の連用形に直接付いた時の形の一つ。動詞の連用形は /i/ か /e/ で終わるため、それを受けて「おる」の語頭がヤ行化したもの。
動詞に侮蔑的なニュアンスを付加するのに使われ、「しよる(しおる)」「来よる(来おる)」「言いよる(言いおる)」「泣きよる(泣きおる)」のように言う。「いる(居る)」に付けて「いよる」ということも出来る。
(※参照⇒「侮蔑語」)
食後の「ごっつぉはん(ご馳走様)」に対する返答の言葉。おそらく「よろしゅうお上がりやした」がつづまったもの。
「ごっつぉはん」「はい。よろしゅうお上がり」
京福電車嵐山線の略称・通称。
(※参照⇒「えいでん【叡電】」)
立命館大学の学生さんのこと。
無茶なこと。または台無しになること。
「そんなことしたら、せっかくの苦労がわやになるがな」
「わや」の意味を強めたもの。「無茶苦茶」に同じ。
「あー、水こぼしてせっかくの絵ぇが、わやくちゃになってもうたあ」
準体言「の」の訛。
「そうなん(そうなの)」「するんや(するのや)」「書いたん(書いたの=書いたもの)」
「~せずに」という意味。動詞の未然形につけて「何もせんと(=何もしないで)ゴロゴロしてばっかり」というふうに使う。
おそらく近世語「~ずと」が転じたもの(上方語ではズ/ヅをンに訛って言うことがある。「たんねる【訪ねる・尋ねる】」を参照)。「~んと[2]」とはアクセントの違いで区別される。
(※参照⇒アクセントの部「動詞の活用形アクセント一覧」)
「要らんこと言わんんとおきや」
否定助動詞「ん(ぬ)」に助詞「と」がついたもの。「~しないと」という意味。動詞の未然形につけて「じっとしとかんとあかんえ」というふうに使う。
「~んと[1]」とはアクセントの違いで区別される。
「~んと[1]」に補助動詞「おく」がついて融合したもの。「~しないでおく」という意味。
「~ずとおく(近世形)」→「~んとおく」→「~んとく」
「もうこんなことせんときや」
「馬(うま)」の訛。
「梅(うめ)」の訛。
市販の京言葉の本を丸写しにするようなことはしたくありませんので、思いつくたびごとに、ぼちぼち追加するという方針で作っています。