■京言葉・語彙集■ 登録語数285語(2010年 9月 5日現在)

 京言葉の語彙集と銘打ってはありますが、必ずしもここに載っている言葉すべてが京都市特有の方言であるとは限りません。
 以下の基準のいずれかに該当すれば、「京都の方言」と見なして掲載しました。

 従いまして、中には京都以外でも使われる言葉・言い回しが含まれている可能性もあります。

 なおこのページのアクセントは、すべて遅上がり反映済みです。


◎あ

●○
あい
(名詞)

平素、普段のこと。

○▼
あい【鮎】
(名詞)

「鮎」の訛。

●●●
あいさ
(名詞)

あいだのこと。

●●○ ※本来
●○○ ※現代京都
あかい【明い】
(形容詞)

明るいさま。
元々「あかるい」というのは東日本語で、京都を含む西日本では「あかい」が普通だった。
しかし「空があかい」などというと、「空が赤い」という意味なのか「空が明るい」という意味なのか曖昧となる。そのせいもあってか共通語が普及するにつれ、いつしか京都でも「明るい」のほうが主流となってしまった。

●●●
あかん
(連体)

ダメ。「らちがあかん」の略という。

「もうあかんわ。どうしょうもない」「あかなんだら、あかんってちゃんと言いやあ」

●●●
あがる【上ル】
(5段動詞)

北へ行くこと。「上ル」と記す。元々京の北端に御所があったことから言うという。対義語は「さがる【下ル】」

「そのお店やったら四条をちょっとあがったとこや」

●●●
あくち
(名詞)

口元にできる炎症のこと。

「あくちができて痛い痛い」

●●○○
あじない
(形容詞)

味がおいしくないさま。共通語の「まずい」よりは語感が柔らかい。

「なんか今日のみそ汁あじないで」

●●○‐●●●○‐○●
あじも‐しゃしゃりも‐ない【味も‐しゃしゃりも‐ない】
(連語・活用は形容詞)

「味気ない」を強調した言い方。

●●● *5
あたん【仇】 *2 (名詞)

恨み。妬み。
また「誰々にあたんする」という言い方で、「当たりちらす」のような意味にも使う*4

○○○●
あまえた【甘えた】
(名詞)

甘えん坊のこと。

「あの子はなんぼになってもあまえたやなあ」

●●●‐●●●●
あめを‐ねぶらす【飴を‐舐らす】
(連語・活用は5段)

「とりあえず今のうちはいい思いをさせておこう」「甘い汁を吸わせておこう」という意味。この言葉が使われる時は、だいたい後でしっぺ返しが来ることを暗示する。
ちなみに「ねぶる」とは「なめる」という意味。つまりこの表現を共通語に直訳すると「飴をなめさせる」となる。

「まぁ、今のうちだけあいつに飴ねぶらせといたろやないか」

●●●●
あめさん【飴さん】
(名詞)

飴の丁寧な言い方。この手のさん付けについての詳細はこちらをご覧いただくとして、注意すべきは大阪ではこの言葉のことを「飴ちゃん」という風に「ちゃん付け」するのだということ。
「さん付け」と「ちゃん付け」。微妙な差異だけに混同なさらぬよう注意されたい。

「そんな飴さんばっかり舐めてたら、虫歯になるえ」

●●
あも
(名詞)

お餅のこと。ちなみに京都のお餅は普通丸い形をしている。

●○
あら

「あれは」という意味。多分「あれは→ありゃあ→あら」と変化したもの。同類として「こら」「そら」などがある。

「あら何や?」

●●●○○
あらくたい

乱雑、乱暴なこと。荒い。荒っぽい。
不快感・嫌悪感を伴うていることが多い。

「そんなあらくたい扱いしてたら、お皿割れてまうえ」

●●●○○
あらけない
*1

取扱いが乱暴なこと。

「これこれ、そんなあらけないことしたらあかんえ」

●○○
いかい
(形容詞)

「いっかい」とも。「大きい」という意味。
ただし今日の洛中では知る人も少なく、もはや廃語同然である(追記・滋賀のほうでは今でも使われているようです)。
なおまったくの余談ではあるが、現代語の「でかい」は、この「いかい」に「ど」のついた「どいかい」が変化したものとのこと。

●●●
いがむ【歪む】
(5段動詞)

「ゆがむ」の訛。

「この絵ぇ、なんかいがんでへん?」

●●●
いかん【行かん】
(連体)

下記の「行く」の否定形。東京で言うところの「いけない」に当たる。丁寧語は「いきません」

「いかん、こら失敗やわ」「そんなことしたらいきません」

●●●○○
いきどしい
(形容詞)

息苦しい。

●●●
いきる【熱る】
(5段動詞)

カッカすること。「いきり立つ」の「いきり」が、この「いきる」であると言えば通りがよかろう。

「何をあいつは一人でいきっとんにゃ」

●●
いく【行く】
(5段動詞)
  1. 上記の「行かん」の対義語。東京で言うところの「いける」に当たる。

    「この服の組み合わせ、なかなか行くんちゃうか」

  2. 災害が起こることについても「行く」を使う。たとえば「火事が行く」「地震が行く」等。

●○
いた【行た】
(「行く」の過去・完了形)

「行った」に同じ。
一見、「行った」の「っ」が抜け落ちたもののようにも見えるが、上方語では母音が短くなることこそよくあれど、「っ」が抜け落ちるという現象はあまり例がない。例えば「ウトータ → ウトタ」「センセー → センセ」のような例は珍しくないが、「アッタ→アタ」のような例はない。
そのためひょっとするとこれは、「書:書いた」「泣:泣いた」など、他のカ行5段動詞と同じように、「いく」の過去・完了形も一度はイ音便を起こして「いいた」となったものの、発音が不安定であったがために短母音化が起こり、それが化石的に現代にまで残ったものなのかもしれぬ。

(※参照⇒「くた【食た】」

●○・○●・●●・○○・●●・●○・●○・●○・●●・○●
いち・にぃ・さん・しぃ・ごぉ・ろく・しち・はち・くう・じゅう

【一・二・三・四・五・六・七・八・九・十】

単に数字を1から10まで数えるときの言い方であるが、旋律が独特なので紹介する。 音階に直すとこのようになる。

「いちにぃさんしぃ、ごぉろくしちはちくぅじゅう」
 ラソミソラーソー ラーラソラソラソラーミー(最後のミーはミソとも)

隠れん坊で数字を1から10まで数えるときなどに、よくこの旋律が用いられる。

●○○●●●●●●●○、○●○○●●●、●●○、●●○、●○○○●●○
いちにのさんまのしっぽ、ごりらのむすこ、なっぱ、はっぱ、くさったとうふ

【一二の秋刀魚の尻尾、ゴリラの息子、菜っぱ、葉っぱ、腐った豆腐】

数え歌。「いちにの」は「いちにい」となることもある。
「いちにの」はそのまま「一・二」、「さんまの」で「三(さん)」、「しっぽ」で「四(し)」、「ゴリラの」で「五(ご)」、「むすこ」で「六(むっつ)」、「なっぱ」で「七(なな)」、「はっぱ」で「八(はち)」、「くさった」で「九(く)」、「豆腐」で「十(とお)」を表す。
単なる流行語であった可能性もあるが、昭和50年代に小学生時代を過ごされた方はおそらくご存じであろう。

追補・当サイトの掲示板において、りーさんという方から「昭和58年生まれの自分の周りでも使っていた」という情報が寄せられました。
どうやら平成以降に小学生時代を過ごした方にも通じるようです。

●●●●●●○ *5
いちはなだって【一端立って】 (副詞)

「いちばんに」「真っ先に」という意味。おそらく「いちはなだつ(京都では廃語)」という動詞の活用形が、副詞として残ったもの。

「あの子は家帰ってくると、必ずいちはなだって『おやつちょうだい』言うなあ」

●●●●
いちびる
(5段動詞)

調子に乗ってふざけること。

「そんなとこでいちびってたら、ケガすんで」

○○●○
いっこも
(副詞)

全然。まったく。一つも。
後ろに否定語を伴い、「いっこもええことあらへん」などのように使われる。この言葉は普段「一個・二個……」と数えないものに対してでも使える。

「いっこもできてへんやないか」「いっこもええ服あらへん」

●●●○●○●
いっせいのぉで
(掛け声)

みなでタイミングを合わせて何かをするときの掛け声。最後が「せ」ではなく、「で」であることに注意。

「ほな、いっせいのぉで、で始めるえ」

●●○○
いっちょう【一条】
(固有名詞)

東西の通りの一つである「一条」のこと。「いちじょう」が訛ったもの。

(※参照⇒「はっちょう【八条】」/「ひっちょう【七条】」

○○
~いで
(接続助詞)

動詞の未然形につけて「お金が足らいで困った」というふうに使う。
この「いで」というのは、「この恨み、晴らさおくべきか」などと用いられる「で」が変化したものという。パッと見は共通語の「~ないで」の「な」が落ちただけのようにも見えるが、語源はまったく異なる。

「そんなことも知らいでよう言うわ」「昨日はうかがえませいで失礼しました」

●●
いぬ【往ぬ】
(5段動詞[丹後のほうではナ変もあるらしい])

家に帰ること。また命令形「いね」に限っては「この場から立ち去れ」という意味で使われることも多い。
古典の教科書に「ナ行変格活用『死ぬ・往ぬ』」というのが出てくるが、あの「往ぬ」がこれである。

「さっさと往ね!」「遅なってきたし、ぼちぼち往ぬわ」

●○●●○●、 ● ○●  ● ○●
いややいやや、せんせに ゆうたろ(囃子言葉)

子どもが大勢の前で失敗した人を囃すときの歌。一人がこの歌を歌い始めるとだいたい周りも巻き込んだ大合唱となり、失敗した人は余計恥ずかしい思いをする。
ちょっとアクセント符号で表すとわかりにくいかもしれないが、節は、

いーやぁやぁ、いーやぁやぁ、せーんせーにぃ、ゆーたーろー

と言う風に「高-低-高/●○●」を繰り返す。
またこの言葉は変種が多く、私が知ってるのだけでも他に「いしゃしゃいしゃしゃ、せんせにゆうたろ」「ゆうたろゆうたろ、せんせにゆうたろ」等がある。
なお音階に直すとこうなる。

「いややいやや、せんせいにいうたろ」
 ラソラミレミ  ラ ソ ラ ミ レミ

●●●
いらう【弄う】
(5段動詞)

さわること。弄くること。近世語「いろう(弄う)」の転じたもの。
「~ろう」で終わる動詞が「~らう」に転じた例としては他に「ひらう(拾う)」がある。

「割れたビンなんかいろてたら、ケガすんで!」

●●●○
うおつり【魚釣り】
(名詞)

「魚釣り(さかなつり)」に同じ。
川や海にいる「魚」のことは元々「うお(うを)」と言った。対して「さかな」とは「酒菜」、つまり本来は「お酒のあて」という意味であった。しかし酒のあてとして魚肉がよく使われたことから、いつしか「さかな」が「魚(うお)」の意味も表すようになったという。
この「うおつり」という言葉は、「うお(生きている)」と「さかな(調理済み)」とが区別されていた時代の名残とも言える。

「昨日魚釣りしに、琵琶湖まで行ってきてん」

●●●●●
うしなえる【失える】
(1段動詞)

なくすこと。失うこと。

「いやあ、気に入ってた時計、どっかうしなえたあ!」

●●○○
うっとい
(形容詞)

「鬱陶しい」の短縮語。「疎い」とは別語。
あまり良い言葉ではないので、連発は避けるほうが好ましい。

「こう毎日、雨ばっかりやとうっといなあ」

●●●○
○○●○
うっとこ
(名詞)

「うちとこ」、つまり「うちの家」という意味。ただし父いわく、かなり下品な言葉とのこと。
理解できるけど自分では使わない言葉にとどめておくのがよろしいでしょう。

「うっとこ、昨日新しいビデオ買うてん」

●○○○
えいざん【叡山】
(固有名詞)

比叡山のこと。

○○○●
えいでん【叡電】
(名詞)

叡山電車の略称・通称。なおこの電車は元々(というてもほんの十数年前まで)京福電車の一部であった。そのためかつては単に「京福」とも呼ばれた。
また更に遡ると、一頃「元田中」駅を挟んで市電との相互乗り入れ運転をしていたこともあるなど、この電車にまつわるエピソードは多い。

(※参照⇒「らんでん【嵐電】」

●○○
えぐい
(形容詞)

味が濃すぎて、喉が変になりそうなさまを言う。

「このラーメン、ものすごえぐい。こんなんよう食べんわ」

●●●●○○ ※どちらも同じ
えずくろしい・えぞくろしい
(形容詞)

しつこいさま。またくどくどしいさま。胸がつかえそうな気分になること。

「なんちゅうえぞくろしい柄した着物や」

●●●
えづく
(5段動詞)

吐き気をもよおすこと。この言葉は古典にも登場し、旧仮名遣いでは「ゑづく」となっている。
つまり元々は「うぇづく」と発音されたわけであり……何というか、「そのまま」という感じの言葉である。

「あー、さっき変なもの食べたせいか、えづいてきた」

○○~
えら~
*1 (接頭辞)

当然~である、という意味を強調させるとき使い、「えら~」の「~」には動詞の連用形が入る。

「こんなことしたらセンセおこらはるやろか」「えらおこりやで」

○●○○‐○
えんばん‐と
(連語・副詞)

あいにく。折り悪く。
この言葉は京ことばの本などでよく「衰退する京ことば」の代表格として取り上げられる。

「えんばんとうちのもんは出かけております」

○●○
おいど
*2 (名詞)

お尻。

○○●○
おいない

おいでなさい。「おい(で)な(は)い」の()内が略されたもの。

「お菓子あげるし、おいないやー」

○○●○ ※本来は●○○○(“大きな/●○○○”と同じアクセント)
おおきに

ありがとう。「おおきにありがとう」の略。

「いや、これ先に買うといてくれたん? おおきに」

○●○○○
おくどさん

かまどのこと。しかし今や、かまどのある家そのものが珍しくなったためか、この言葉も廃語寸前。

○○●○
おくない

ちょうだい。「おくれなはい」→「おくんなぁい」→「おくない」と変化したもの。
上の「おいない」もそうだが、親や祖父母が、子や孫に対して使う場合が多い。

「ちょっとそのお菓子おくない」

○●○○
おこうこ
(名詞)

たくあんのこと(注・もしかしたらお漬け物全般を指すのかもしれぬ)。

●○○ *5
おじゃみ (名詞)

お手玉のこと。「ななこ」とも。

「あんたおじゃみ下手やなー」

○●○
おしょい
(名詞)

「醤油」に「お」をつけた「おしょうゆ」の訛。

「ちょっとそこのおしょい、取ってんか」

●●
おす
(サ変動詞・ただし否定形は「おへん(<おせん)」)

意味・用法は「ございます」と同じだが、丁寧度はやや落ちる。「どす・ます」と同程度。大阪では「おます」と言う。
おそらく「おます」が変化した言葉。

「今日は天気がよろしゅおすなあ」「そんなことおへんえ」

○●○
おだい
(名詞)

「大根」に「お」をつけた「おだいこん」の略。

「おだいのみそ汁、おいしい」

●●●●
おちょくる
(5段動詞)

からかうこと。小馬鹿にすること。

「何や、その人をおちょくったような態度は」

●●○○
おっさん
(名詞)

お寺の住職。多分「おしょうさん」が約まったもの。
ちなみにおじさんという意味の「おっさん/●●●●」とはアクセントで区別する。

「ほなおっさんがおいなはったら始めますんで」

○○○●/○○●○
おっちん
(幼児語・名詞)

幼児語で「お座り」のことで、「おっちんする」のように使う。

「あんまりちょろちょろしたら危ないし、そこでおとなしおっちんしとき」

○○●
おった【落った】
(動詞・特殊形)

「落ちた」のことをしばしばこう言う。ただし動詞としての原型は「落ちる(1段)」であって「落つ(5段)」ではない。
同様に、「落ちて」もしばしば「落って」となる。

「何かそこに落ってるで」

○●○○/○○●○
おとがい
(名詞)

あごのこと。

●●○○
おとつい【一昨日】
(名詞・副詞)

東日本では「おととい」と言うが、西日本では普通こう言う。類似するものとして「なぬか(西日本)/なのか(東日本)」
この言葉の語源は「彼方(をと)つ日」であるというので、恐らく東日本の「おととい」という言い方は、「おととし」に引かれたものであろう。

○●○
おはぎ
(名詞)

おはぎ餅のこと。これは東京でも使われるが、注意すべきは京都において「お萩」は一年中「お萩」であり、東京における「春はぼた餅、秋はお萩」のような季節による言い換えは、まずせぬということ。
言い換えれば、京都では「ぼた餅」という単語そのものがあまり一般的ではないとも言える。

○○●○‐○○○●
おはようおかえり
(挨拶語)

京都では出かける人を見送る時こう言う。類義語に「気ぃつけて」など。

「ほないてきます」「おはようおかえり」

○●○○○
おひいさん【お日いさん】
(名詞)

太陽のこと。「おひさま」「おひさん」ではなく、「おひいさん」と「ひ」を伸ばすことに注意。

「おひいさん、照ったある」

○▼
おぶ
(名詞)

お茶。元はお湯のことも差すが、今日「おぶ」といえばお茶のことを差す場合が多く、お湯のことは「さい(さゆ)」と言う。

「このおぶぅ、ちょと熱いなあ」

○○○●
おぶづけ
(名詞)

お茶漬けのこと。

「別におぶづけ出したさかいにゆうて、帰ってほしいて思てるわけやないで」

○●・○○●○
おみ・おみない【お見・お見ない】

それぞれ「ご覧」「ご覧なさい」にあたる。「おみ」というのは「お」+「見る」の連用形、つまり「おし」とか「おたべ」などと同じ語構成の言葉。「ない」は「なはい」が約まったもの。

「ほらこっち、見とおみ」

○○○●●○○
おやかまっさん

余所の家から帰る時に「おやかまっさんどした」という風に使う。「がいがいと騒ぎ立てて、喧しゅうしてすみません」という意味合いの言葉。
おそらく「おやかまし(お喧し)さん」の変化したもの。

●○
おる【居る】
(5段動詞)

意味そのものは「いる」と同じであるが、「おる」には対象を蔑むようなニュアンスが含まれていることが多い。
一般的に、東日本では「いる」が使われ、西日本では「おる」が使われるものと考えられがちであるが、こと京都に限って言えば、「いる」も「おる」も両方使われ、蔑みの気持ちを表すときには「おる」が、それ以外のときには「いる」が用いられる。
この「いる」と「おる」とを使い分ける状況というのは、決して近年の共通語化の影響によるものではない。というのも、近世前半の上方人の話し言葉がほぼそのまま反映されているといわれる近松作品の会話部分でも、「ゐる(いる)」は盛んに用いられていて、上方では近世前半の段階で既に、「いる」が今日と同じように使われていたことが分かる。
なお既述の通り、「おる」には蔑むようなニュアンスが含まれているので、敬意を表す助動詞と組み合わせて「おらはる」「おおりやす」「おおりなさる」などと言うことはできない。この類の助動詞は常に「いる」のほうと組み合わされ、「いやはる」「おいやす」「おいなさる」などと言う。

(※参照⇒「侮蔑語」

●●
おん【雄】
(名詞)

動物や昆虫の「雄(オス)」のこと。

(※参照⇒「めん【雌】」

「カブトムシのおんとめん(雄と雌)」

◎か

●●●○●
かおがさす【顔がさす】
(連語・活用は5段)

近所の人の目につくこと。ご近所の噂になること。
京都で暮らしていて、もっとも怖いのがこの「顔がさすこと」である。

「町内で顔さすようなことせんといて。恥ずかしい……」

●● *5
かざ (名詞)

におい。香り。

「ええかざが漂うてくんなあ」

●●
かす【淅す】
(5段動詞)

(米を)研ぐごと。
なお地域によっては米を水に浸すことについてもこの言葉を使うらしい。

●○○
かづら【蔓】
(名詞)

カツラのこと。2拍目が濁るのが共通語のそれと異なる。

●○
~かて
(助詞)

「~であっても」「~であったとしても」という逆接の仮定を表す助詞。

(※参照⇒「そやかて」

「猫なで声出したかて、あかんというたらあかん」

~かど【角】 (接尾)

京都では住所を表すとき交差点を基点とするので、「四条河原町の東南角(ひがしみなみかど)」などという言い方がよくなされる。
この「~角」という言い方をする時は、「東西南北」の順に方角を並べるという暗黙の規則がある。従って「南西角」とは言わず「西南角(にしみなみかど)」と言い、「北東角」ではなく「東北角(ひがしきたかど)」と言う。

●○○
かなん
(連体)

「かなわん/●●○○」が約まったもの。

「あの人、また約束破らはった。かなんわぁ」

●●●●
かにここ
(副詞)
  1. ぎりぎりである様子やせっぱ詰まった様。いっぱいいっぱい。
  2. 赤子の初便。

「かにここ約束に間に合うた」

●●●‐●●●●
かぁに‐かまれる【蚊ぁに‐噛まれる】
(連語・活用は1段)

東京では「蚊に刺される」「蚊に喰われる」と言うが、京都では「蚊に噛まれる」と言う。

●●●●●
かみいさん【髪結いさん】
*2 (名詞)

理髪師のこと。
京ことばにはこの手の「ゆ」→「い」という変化がよく見られる。

●○‐●●○○
かも‐わからん
(連語・活用は助動詞「ん・ぬ」に同じ)

「~かもしれない」の意。「~かもしれん」に同じ。

「言われてみたら、そんなもんなのかもわからんな」

●●
かる【借る】
(5段動詞)

借りること。京都に限らず、西日本では「借りる」ではなく「借る」が本来の言い方。
数多の古典文献が示す通り、この言葉は「借る」と言うのが、かつての日本語では普通であった。 しかし中世以降、それまでは「かうぃた」と発音されていた「買う」の過去(完了)形を、西日本では「買うた(こうた)」と言うようになったのに対し、東日本では「買った」と言うようになったので、東日本では「買う」と「借る」の過去(完了)形が、ともに「かった」で同音になってしまった。
「買う」と「借る」の過去(完了)形が同音では、商売上においても、人と物を貸し借りする際においても、不都合なことこの上ないので、やむなく東日本では「借った」のことを「借りた」と言いかえることにより、「買った」と言い分けるようになったという。
このような経緯の末、今日のような「西日本の『借る』」対「東日本の『借りる』」という方言対立ができたという。

「あの本ほしいけど買うたら高いし、図書館行って借ってくる」

○○●‐○●
かんを‐くる【勘を‐くる】
(連語・活用は5段)

気を回す。勘を働かす。

「そんな勘くってばっかりいたら、疲れるえ」

○○○●○○
かんこくさい
(形容詞)

きなくさい、焦げ臭いさま。

「ん、かんこくさいで。なんか焦げてへんか?」

●●‐○●○
きぃ‐つけて【気ぃ‐つけて】
(挨拶語)

出かける人を見送る時に言う言葉。類義語に「おはようおかえり」など。

●●●
きくな【菊菜】
(名詞)

春菊のこと。京都では普通こう言う。「春菊」では運が悪いと通じないことも。

○●○
きずし【生寿司/生鮨】
(名詞)

しめさばのこと。「すし」という言葉が入ってはいるが、別にしゃりに乗ってなくても良い。

「このきずし、何か怪しい色してへん!?」

●●
きす【着す】
(不完全な5段動詞)

「着せる」に同じ。
なおこの言葉は「他人を自分の傘に入れてあげる」という意味や「布団や毛布をかけてあげる」という意味でも用いる。

(※参照⇒「きる【着る】」

「かわいそうにこの雨の中、濡れたはるがな。傘を着したげ(着せたげ)」「あの子、また布団はねのけてる。着したげて(着せたげて)」

●●●○○
きずつない【気術ない】
(形容詞)

すまない、申し訳ないという意味。二語に分解して「気ぃが‐術ない(きぃが‐ずつない/●●●‐●●○○)」とも。

「先度はきずつないこといたしまして」

○●○●
きつきつ
(副詞)

「きつうきつう」の短縮形。「とても」や「ものすご」等と同様、強調の副詞として使われる。

●●●
きばる【気張る】
(5段動詞)

尽力すること。頑張ること。

「そんな気張ってべんきょしてたら倒れるで」

●○○○/○○●○
ぎょうさん【仰山】
(副詞)

たくさん。「ようけ」とも言う。

「また、えろう仰山買うてきたなあ」

●●
きる【着る】
(5段動詞)

共通語より用法が広く、「帽子を着る」「布団を着る」という言い方もできる。更に昔は、もっと用法が広かったらしい。
考え方としては、「上半身に着けるものなら『着る』、下半身に着けるものなら『穿く』」といったところか。

(※参照⇒「きす【着す】」/「はく【穿く・履く】」

○●
くた【食た】
(「食う」の過去・完了形)

「食うた」に同じ。

(※参照⇒「いた【行た】」

●●
~ぐち
(接尾語)

~ごと。~全部。

「このリンゴ、皮ぐち食べられる」

○▼
ぐぢ
(名詞)

「甘鯛」のこと。某料理番組で解説者がよく使ってたので、ご存じの方も多いか。

「このぐぢ、ものすごおいしいなあ」

●●○
ぐっぱ
(名詞)

大勢を二組に分ける時の特殊なジャンケン。
かけ声とともに皆一斉にそれぞれジャンケンの「グー」か「パー」かを出し、グーを出した人とパーを出した人とが同数だったら、そのままグーを出した人たち同士・パーを出した人たち同士がそれぞれ組をなす。

●○‐●○○
ぐつ‐わるい
(連語・活用は形容詞)

具合が悪いこと。おそらく「ぐつ=具合」という意味であろうが、「ぐつ良い」とは言わない。

「なんか話聞いてると、ぐつわるいことになってきたなあ」

●●●●●●○○
けったくそわるい
(形容詞)

けったくそとは胸くそのこと。つまり「けったくそわるい」とは「胸くそが悪い」の意味。

「あの人の顔を見るだけで、けったくそ悪うなってくる」

●●○○
けったい
(形容動詞)

奇妙なさま。不思議なさま。

「何をそんなけったいな顔してんの」「けったいな色した服やなあ」

●●○○
けなるい
(形容詞)

うらやましい。「けなりい」とも。
古語「異(け)なり」から派生した言葉といい、京都のみならずかなり広い範囲に分布しているという。

「豪華な家を建てはって、けなるいこっちゃ」

●●●
げんじ
(名詞)

カブトムシのオスのこと。メスは「ぼーず」

「俺のげんじの方がおまえのより大きい。ええやろ」

20110501追補・メールにてかぼちゃ大王さんという方から、向日及び左京岡崎でクワガタムシの意味で使われていたという情報をいただきました。
文献を当たってみますと、まず井之口有一・堀井令以知氏による『京ことば辞典』では「ゲンジ=カブトムシのオス」とされています。また中井幸比古氏のアクセント資料でも「ゲンジ=兜虫の雄」として見出しを立てたうえで聞き取り調査が行われ、旧市街の方13人はこの意味でアクセントを回答、京北の方1人は「ゲンジ=クワガタムシ」として回答、他、旧市街の方1人と野洲の方1人が「どちらの意味でも使わず・該当する言葉を知らず」と回答なさっています。
以上のことから旧市街ではカブトムシのオスが本来の意味であると見て良さそうです。
ただ近年はゲンジ=クワガタムシ派も一定の広がりを見せているようで、堀井令以知氏が2006年に出された『京都府ことば辞典』では、カブト・クワガタ併記となっています。ある地域またはある世代を境に「げんじ」の意味は変わってしまっている可能性があります。

○○●○‐●●
げんなり‐する
(連語・活用はサ変)

がっかりする。脱力する。

「ちょっと心配したさかいにいうて、そんなげんなりしてたらあかんえ」

●●●●● / ●●●●○
ごあさって
(名詞・副詞)

しあさっての次。「四」の次なので「五」ということらしい。冗談のようだが、いたって真面目な語。

●●●
こいも
(名詞)

里芋のこと。「里芋」と言うと、京都では通じにくい。

●○○
こうとな
(連体)

地味な、質素な。地味といっても上品な地味さのことをいい、悪い意味はない。派手の反対語。

「こらまたずいぶんこうとな着物で」

●●○○
こそばい
(形容詞)

くすぐったい。

「あー、なんかさっきから鼻がこそばゆうてしゃあない。風邪でも引いたんかな」

●●●○○
こそばゆい
(形容詞)

「こそばい」に同じ。

●○○
こたち【子たち】
(名詞)

こどものこと。丁寧に言う時は「お子たち」
「子ども」の「ども」は、元々「ものども」や「きさまども」など卑しめの意味を持つ接尾語「ども」に由来するため、京都ではそのような接尾語の付いた「子ども」という言葉を避けて、「子たち」という伝統がある。

「門で近所のお子たちが遊んだはって、やかましやかましい……」

●●●
こつく【小突く】
(5段動詞)

先の尖ったもので突っつくこと。「つ」が濁らぬことに注意。

「指でこつかんといていな。気色悪い」

●●●
ごっつぉ【ご馳走】
(名詞)

「ご馳走」の訛。

「いや、今日はえらいごっつぉやな」

●●●●●
ごっつぉはん【御馳走様】
(名詞)

「ご馳走様」の訛。

「ごっつぉはんどした」「よろしゅうおあがり」

●●●○○‐●●●●
こないだの‐せんそう【こないだの‐戦争】
(連語)

応仁の乱のこと。京の街は太平洋戦争では殆ど焼けなかった(爆撃そのものはあった。一般的にはあまり知られていぬようだが)ため、「京の街を焦土と化すほどの大戦」と言うと、応仁の乱まで遡ってしまう……という一種の冗談。

○●○
ごとび【五・十日】
(名詞)

毎月の「五日・十日・十五日・二十日・二十五日・三十日」のこと。
この日は集金で道が混むと言われている。

○▼ *5
こぶ【昆布】 (名詞)

「こんぶ」に同じ。

●●●●○○
こぶらがえり
(名詞)

こむらがえり。「こぶら」とはふくらはぎの古語。
古語辞典ではたいてい「こぶら」のほうで見出しが立っているので、恐らく「こむら」の方が「こぶら」の訛ったもの。

○○●
ごもく
(名詞)

ごみのこと。ちなみに「ゴミ箱」は「ごもく入れ/○○○●○」と言う。

●●
こら

「これは」という意味。多分「これは→こりゃあ→こら」と変化したもの。同類として「あら」「そら」などがある。

「こらなかなかええもの見つけてきやはりましたな」

●●●●
ごんごう【五合】
(名詞)

五合(ごごう)のこと。よく「五合炊き(ごんごうたき)」という言い方で用いる。

●●●
ごんぼ
(名詞)

「ゴボウ」の訛。

◎さ

○○○●‐○○●●○
さいしょの‐だいいっぽ【最初の‐第一歩】
(掛け声)

いわゆる「はじめの一歩」に同じ。
余談だが、私の住んでいた地域では、「さいしょのだいいーっぽ」と言いつづけている間は何歩でも前に進むことができるという、とても愉快かつ厄介なルールがあった。それゆえに「はじめのいっぽ」より字数の多い「さいしょのだいいーっぽ」のほうが好まれたのかもしれない。

○○●○ *5
さいぜん【最前】 *1 (副詞)

さっき。今し方。

「さいぜんからそう言うてますがな」

●○○
~さかい
(助詞)

順接の助詞。東京語の「~から」に当たる言葉。
最近では洛中でも「~やから」「~するから」と順接に「~から」を使う人が増えてしまったが、古くは「京の『~さかい』対江戸の『~から』」と言えば、有名な方言対立だった。
なおこの言葉、近畿周辺だけのものと思われがちだが、実際は「さけ、はかい、はけ……」などの変種が、滋賀から北陸へ抜けて新潟・秋田・青森にいたるまで、かなりの広範囲に分布しているという。

(※参照⇒「そやさかい」/「~し」

「これあげるさかい、こっちへおいない」

●●●●
さかしま
(名詞)

逆さま。

●○○/●●● ※本来は●○○のみか
さがる
(5段動詞)

南へ行くこと。「あがる」の反対語で、「下ル」と記される。

「今出川をちょう下がったとこに住んでます」

●○○
さぶい
(形容詞)

「寒い」の訛。この手の「バ行←→マ行」の交代はよく見られる。

○○○●
さぶいぼ
(名詞)

鳥肌のこと。

「うー、寒うてさぶいぼ立ってきたー(“出てきた”とも)」

●●●
さよか【左様か】
(間投詞)

相槌。「そうか」に同じ。「さようか」の略。
乱暴な言い方として「さよけ」というのもある。

●●●●
さらえる
(1段動詞)

お皿や鍋に残ったものを全部引き上げ、食べてしまうことを「さらえる」という。

「これ、中途半端に余ってんにゃわ。だれかさらえてしもて」

●●○○
ざんない
(形容詞)

人にものをあげる時などに「これ、ざんないものどすけど……」という風に使う。
一種の常套句なので、本来の意味や他の使い方があるのかは不明。


~し
(助詞)

順接の助詞。「~さかい」に同じ。
この助詞を順接の意味で用いるのは、関西一円の中でも京都ぐらいのものであるという。共通語化の波を被って個性を失いつつある現代の京都言葉において、これは非常に珍しい。

(※参照⇒「そやし」/「~さかい」

「あ~あ、壊してしもた。無茶をするしや」

●●○○
しかつい
*2 (形容詞)

(良い意味で)しっかりしたさま。きちんとしたさま。
「しかつべ(め)らしい」から。

「年の割にしかつい子ぉや」

●●●○○
じぞうぼん【地蔵盆】
(名詞)

8月、大文字(8月16日)の1週間後頃に開かれる子どものためのお祭り。

○○○●
しっぽく
*2 (名詞)

うどんの一種。蒲鉾や卵、椎茸や葉っぱものの野菜などを具とする。

●●
~しな
(接尾語)

主に移動に関係する動詞の連用形に付けて「~する時に」という意味を表す。代表的なところでは「来しな」「行きしな」「帰りしな」「ししな」等。なおこれは短縮されて「行きし」「帰りし」ともなる。

「ほな帰りしなに寄ってくるわ」

●●●
しばく
(5段動詞)

意味としては「叩く」だが、ニュアンスがちょっと異なる。だいたい「はたく」と「たたく」の中間ぐらいといった感じ。

「べちべちべちべち人のこと、しばきなさんなや」

●●●
しまい
(名詞)

おしまい。終わり。
ちなみに東京で言うところの「しまう」は、京都では「直す」というので意味は衝突しない。

「今日はもうそろそろしまいにしょうな」

○○○●
じゃじゃ降り
(名詞)

雨がじゃあじゃあと音を立てて降ること。「ざざ降り」に同じ。

「出かけようと思うた日ぃに限ってじゃじゃ降りや」

●●●
しゃしゃり
(名詞)

「味もしゃしゃりもない」の項参照。

●○○●●‐●○
じゃんけんで‐ほい
(掛け声)

東京でジャンケンをするときのかけ声は「じゃんけんぽん、あいこでしょ」だが、京都では「じゃんけんでほい、あいこで‐ほい/低低中中‐高高」
ちなみにこれを音階に直すと、

「じゃんけんでほい、あいこでほい」
  ラ ソミソラシラ  ミ ソソ ラ

となる
なお「じゃんけん」を、「じゃいけん」と言う人もある。

●●●●
じゅんさい
(形容動詞)

「じゅんさいな人」で、「いい加減な人。調子の良いだけの人」というような意味を表す。
ジュンサイとは深泥池(みどろがいけ)などに生えるぬるぬるとした食用草のことで、もとは「(ぬるぬるとしたジュンサイのように)つかみ所のない人」のことを「ジュンサイな」と言ったという。

●●●○○
しょっからい
(形容詞)

「塩辛い」の変化したもの。東日本でいう「しょっぱい」にあたる。

「この肉、ものすごしょっからいなあ」

○● *5
じょろ (名詞)

あぐらのこと。あぐらをかくことを「じょろ(を)組む」という。

「女の子が人前でじょろなんか組みなさんな」

●●○○●
しいらんぺ【知いらんぺ】
(連語)

何か失敗した相手を「私は知らん。関係ないさかいな」と突き放す時、言う言葉。
恐らく「知らぬべい」が訛ったもの。

(※参照⇒「やんぺ」

「あ~あ、ガラス割ってしもた。ワシ知いらんぺ」

○○●○
しんどい
(形容詞)

今や共通語化したので説明の必要もないと思われるが一応。だるいさま、疲れたさまを言い表す言葉で、「心労」を形容詞化した言葉だと言われている。

「あぁしんど」

○○○○●○
しんぶんがみ【新聞紙】
(名詞)

新聞紙(し)のこと。ただし「しんぶんがみ」と言う時は、読むためのものとしてではなく、物をくるんだり包んだりする用途を念頭に置いていることが多い。

●○
すい【酸い】
(形容詞)

酸っぱい。一見すると短縮語のようだが実はその逆で、元は「酸っぱい」の方が「酸い」の強調語。

「このみかん酸いわ」

●●●
せんど
(副詞)

さんざん。あれほど。長きにわたって。

「せんど言うといたのに、結局何も聞いてなんだんやな」

○●○
せんど【先度】
(副詞)

こないだ。先日。

「先度はえらいお世話かけました」

○○●○
そうろと
*1

ゆっくり、かつ慎重に。

「そこはそうろと歩きなさい」

●○○○
そやかて
(接続詞)

東京語の「だって」に当たる言葉。「~だとしても」

(※参照⇒「~かて」

「そやかて、変なこと言わはるさかい、ついしばいてしもたんや」

●○○○○
そやさかい
(接続詞)

東京語の「だから」に当たる言葉。「そやし」に同じ。

(※参照⇒「そやし」/「~さかい」

「そやさかい、やめといたらよかったのに」

●○○
そやし
(接続詞)

東京語の「だから」に当たる言葉。「そやさかい」に同じ。

(※参照⇒「そやさかい」/「~し」

「そやし、ジッとしときって言うてるのに」

●●
そら

「それは」という意味。多分「それは→そりゃあ→そら」と変化したもの。同類として「あら」「こら」などがある。

「そら、そんなことするほうが無茶やで」

◎た

●●
たく【炊く】
(5段動詞)

意味そのものは共通語と同じだが、「炊く」と「煮る」の境界が微妙に異なっている。
たとえば「こいも(里芋)」や「大根」は、東京では「煮るもの」であるが、京都では「炊くもの」であり、「こいもを炊く」「大根を炊く」と言う。

「このこいも、なんか炊き方が足らんのと違う?」

○●○
たすけ
(名詞・稲荷方言?)

「たすけつかまえ」とも。「どろじゅん」に同じ。

●○○
たぬき
(名詞)

「たぬきうどん」の略。この“たぬきうどん”というのは、きつねうどんにあんかけを加えたもののことであるが、どうやらこれは京都にしかないらしく、大阪人や神戸人に“たぬきうどん”と言ってもまず通じない。

○○●○
ちゃいちゃい
*1 (幼児語・名詞)

お風呂のこと。

「ちゃいちゃい入って、ぽんぽんしょうな」

○○
~ちゅう
(融合形)

「という→ていう→ちゅう」と変化したもの。ただしこれはどちらかというとやや大阪弁的で、京都では「と」の落ちた「~ゆう」か、「~てゆう」のほうが優勢。

「言われいでもするっちゅうに」

●○
ちょう
(副詞)

ちょっと。「ちょい/●○」とも言う。
「ちょう面白い」という言葉は、東京では「とても面白い」の下品な言い方だが、京都では「そこそこ面白い」の意味となり、全く逆の意味になる。

「ちょう待っていなー」「あとちょう頑張ったらしまいや」

●○
チョー
(名詞)

じゃんけんの「ちょき」のこと。

●●●●● ※どちらも同じ
ちょちょこばる・ちょつくばる
(5段動詞)

しゃがみ込む。この言葉は変種が多く、見出しに掲げたものの他にも「ちょちょこぼる」「ちょつくぼる」等がある。

「こんな人通りの多いとこでちょちょこばりなさんな。みっともない」

○○●○
ちょぼちょぼ
*1 (名詞)

どっちもどっち、五十歩百歩。

「この絵とこの絵、どっちがうまい?」「ちょぼちょぼやな」

○●○
ちりし【ちり紙】
(名詞)

ちり紙(ちりがみ)のこと。新聞紙(がみ)とも。

「ちょっとちり紙2~3枚持ってきて」

●●●‐●●
つろく‐せん
(連語・活用はサ変)

釣り合いが取れていないこと。周りに調和していないこと。

「和室にこんなもん置いたかて、つろくせんの、わかりきってるがな」

●○○ ※本来
●●● ※現代京都
でける
(1段動詞)

「できる」の訛。

「なんぼ言われたかてでけんものはでけん」

てらごこふやとみ

京の南北の通りを東から西へ並べた歌。ただし現在では知る人ももはやなく、記録として残されているばかり。私の知る限り、歌詞には以下の二通りがある。

『京都のことば』(堀井令以知・和泉書院)記載のもの
てら御幸ごこ麩屋ふやとみやなさか高倉間たかくらあいの、 ひがしくるま烏丸からすまりょうが、 むろころも新釜西しんかまにし小川おがわあぶらさめ葭屋よしや猪熊黒いのくまくろ大宮おおみや松日暮まつひぐらしに、 智恵光院ちえこういん浄福じょうふく千本せんぼん、 はては西陣にしじん
『日本歴史地名大系 京都市の地名』(平凡社)記載のもの

テラ・ゴコ・フヤ・トミ・ヤナ・サカ・タカ
(寺町通・御幸通・麩屋町通・富小路通・柳馬場通・境町通・高倉通)

アイノ・ヒガシに・クルマ・カラスマ
(間之町通・東洞院通・車屋町通・烏丸通)

リョウ・ムロ・コロ・シン・カマ・ニシ・オガワ
(両替町通・室町通・衣棚道・新町通・釜座通・西洞院通・小川通)

アブラ・サメ・ホリ・ヨシヤ・イノ
(油小路通・醒ヶ井通・堀川通・葭屋町通・猪熊通)

クロ・オオミヤ・マツ・ヒグラシに・チエコウイン
黒門通・大宮通・松屋町通・日暮通・智恵光院通

ジョウフク・センボン・はてはニシジン
浄福寺通・千本通・西陣通

いずれも旋律は不詳。
某銀行がCMで流していた歌では、このどちらとも異なる歌詞が使われている。おそらく「まるたけえべす」の節にあわせるための措置なのであろうが、それにしても歌詞の最後が「さては西陣」となっていたのは不可解である。

(※参照⇒「まるたけえべす」

●●●
てれこ
(名詞)

逆さま。入れ替わってること。

「あれ、いつの間にかスリッパがてれこになってる」

○○○●
てんかす【天かす】
(名詞)

揚げ玉のこと。「ぷらのカス」を約めて「天かす」

○○○●
どうやん
(名詞)

同志社大学の学生さんのこと。

●●
どす
(助動詞・活用は不完全なサ変)

共通語の「です」にあたる助動詞。「~で‐おす」が約まったものという。なお「おす」については「おす」の項を参照。
今日では「祇園の舞妓さんが使っている言葉」というイメージが強いこともあってか、 女言葉だと思われがちだが、元々は老若男女問わず広く用いられた。
なお共通語の「です」は形容詞にも付くが、京言葉の「どす」は普通形容詞には付けない。

×青いどす → ○青(う)おす

助動詞「どす」や「ます」の後ろに助詞が続くと、「す」が「ふ(唇ではなく喉の奥で発音する「ふ」)」のような音に変化し、しばしば「どふか」「まふか」となる。

●●●
どつく
(5段動詞)

どーんと突く。殴りかかる。

「いったいなあ。いきなりなにどついてくんにゃ」

○▼
どべ
(名詞)

「べったこ」に強調の「ど」が付き、さらに省略されたもの。

「いや、僕がどべかいな」

○○○●
どぼづけ【どぼ漬け】
*2 (名詞)

ぬか漬けのこと。どぶ漬け。

●○○ ※本来
●●● ※現代京都
とぼす【灯す】
(5段動詞)

「灯す(ともす)」に同じ。

「とぼった、とぼった、大文字(さん)がとぼった」

●○○ ※本来
●●● ※現代京都
とぼる【灯る】
(5段動詞)

「灯る(ともる)」に同じ。

●○○‐○●○○●‐●○○●○○○○‐○●●○●
どれに‐しようかな‐てんのかみさまの‐いうとおり【どれにしようかな天の神様の言うとおり】
(連語)

「どれにしょう」ではなく「しよう」、そしてアクセントが完全な東京式であることからいっても、明らかに東京(もしくはその近郊)発祥の遊びであろうが、これに続く言い方が他の地方と異なっているようなので記しておく。
京都では「いうとおり」のあと、「プッとこいてプッとこいてプップップッ」と続くことが多い。
この「こく」というのは、「嘘をこく」などという時の「こく」で、即ち「プッとこく」とはおそらく「プッと吹き出す」という意味。

○○○●
どろじゅん
(名詞)

いわゆる「けいどろ/どろけい」のこと。

●○
どん
(形容動詞)

鈍くさいの鈍。「鈍なことをする」という風に使う。

「鈍なことしまして、えらい申し訳ございません」

●●●○○
鈍くさい
(形容詞)

ドジなさま、にぶいさま。

「あんなとこでコケるなんて、どんくさいやっちゃなあ」

●●●●
どんつき
(名詞)

突き当たりのこと。「どーんと行った突き当たり」から来たらしい。冗談のような話ではあるが、言葉そのものはいたって普通に使われる。

「あこのどんつきの家、今度取り壊すんやて」

◎な

●○
ない
(動詞・命令形)

「なはい・なさい」に同じ。「おいない」「おくない」「おみない」などを参照。

○○●○○○
ないないする
(連語・幼児語・サ変動詞)

しまうこと。

「はい、使うたおもちゃ、ないないしょうな」

●●●●●○○
ないろんぶくろ【ナイロン袋】
*3 (名詞)

東京でいうところの「ビニール袋」に同じ。

●○○ ※本来
●●● ※現代京都
なおす
(5段動詞)

共通語同様「修理する」という意味もあるが、「しまう・かたづける」という意味もあり、日常では後者の意味で使われることが多い。
そのため京都人に、修理を依頼するつもりで「直しといて」とだけ言うと、そのままどこかへ片づけられてしまう可能性大なのでご注意を。

「この掃除機、邪魔やしちゃんと直しとして」「借ったら返す! 使こたら直す!」

●○○ ※本来
○○● ※現代京都
なぜる
(1段動詞)

「撫でる」の訛。
江戸時代の一時期、「ザ行」と「ダ行」との区別が曖昧になったらしく、この手の「ザ行←→ダ行」の混同の痕跡が、現代においてもたまに見られる。

(※参照⇒「のぞ」

「ちょっと、背中をなぜてくれへんか」

○●○ *5
ななこ (名詞)

おじゃみ(お手玉)のこと。

「七個ないななこなんてななことちゃうがな!」

●○○
なぬか【七日】
(名詞・副詞)

これも東西方言で対立する語。東日本では「なのか」と言われるが、西日本では「なぬか」と言う。類語に「おとつい(西)/おととい(東)」など。
私見だが、古い文献ではもっぽら「なぬか」の方が使われているので、「なのか」という言い方は、「七(な)の日(か)」と誤って解釈されたものであろう。

●○
なり
(名詞)

身なりのこと。

「そんなアホみたいななりして、近所歩かんといて」

○○
~なん
(接尾)

「~なの」の訛。性別問わず使われる。
言い切りの意味で使われることは稀で、たいてい質問文として、語尾を上げながら発音される。

(※参照⇒「~やの」「ん」

「そうなん?」「本真なん?」

○○●○
なんでか
(副詞)

「なぜか」に同じ。

「なんでか知らんけど、ここから水が漏るにゃわ」

●●●
におぐ【臭ぐ】
(5段動詞)

においを嗅ぐこと。恐らく「匂う」と「嗅ぐ」の合成語。

「くんくんくんくん何でもにおぎなさんなや」

●●‐●●
にし‐いる
(連語・活用は5段)

東西の通りを西へ行くこと。また交差点を西に折れたところのこと。「西入ル」と記す。対義語は「東入る」

●●●
にぬき【煮抜き】
*6 (名詞)

ゆで卵のこと。『京ことば辞典』によれば、「煮抜く」から来ているという。

●●●●○
にらみっこ
(名詞)

互いににらみ合い、先に笑った方が負けになるという遊び。にらめっこのこと。

●○
ねき【根際】
(名詞)

側、傍ら、近く、近所、という意味。

「もう、人のねき来て大きな声出さんといて」「今度うちのねきにコンビニできてん」

●●●
ねぶる【舐る】
(5段動詞)

「なめる」という意味。「飴をねぶらす」という表現でよく用いられる。

「歩きながら飴ねぶってたら、のどにつまんで」

●●
ねる【寝る】
(1段動詞)

「眠る」という言葉は、京都ではやや文章語的な響きがあり、日常ではこの「寝る」が「眠る」の代わりによく使われる。

「あの子、よう寝てるわ」

○●
のぞ【喉・咽】
(名詞)

「のど」のこと。
市内にはどっちがどっちの訛なのか区別がついていぬ人が結構いるようで、耳鼻咽喉科の看板にもたまに「みみ・はな・のぞ」と書かれていることがある。

(※参照⇒「なぜる」

「うー、風邪引いてのぞが痛いー」

◎は

●○○○‐●●●
ぱーまを‐あてる【パーマを‐当てる】
(連語・活用は1段)

東京では「パーマをかける」と言うが、近畿では「当てる」と言う。

●●
はく【穿く・履く】
(5段動詞)

この言葉は腰から下に着用するものに用いるのが普通だが、まれに腰から上に着用するものにもこの言葉を用いる人がいる。「手袋をはく」等。
但し好ましくない用法なので、ご自身では使われぬようご注意を。

(※参照⇒「きる【着る】」

●●○○
はしこい
(形容詞)

すばしっこい。頭の回転の速さについても言う。

「今、声がした思たら、もういやへん。ホンマにはしこい子ぉやわ」

●●○ ※本来
●○○ ※現代京都
はしり【走り】
(名詞)

台所のこと。

●●○ ※本来
○●○ ※現代京都
はしり【走り】
(名詞)

徒競走、かけっこのこと。

「運動会の中で走りがいちばん苦手やわ」

●●●
パチる
(5段動詞)

盗むこと。

「人のもんパチったらあかん」

●●○○
ばっちい
(形容詞・幼児語)

汚いさま。

「ほら、そんなとこ裸足で歩いたらばっちいえ」「ああ、ばっち」

●●○○
はっちょう【八条】
(固有名詞)

東西の通りの一つである「八条」のこと。「はちじょう」が訛ったもの。

(※参照⇒「いっちょう【一条】」/「ひっちょう【七条】」

●●
ばば
(名詞)

大便のこと。「猫ばば」の「ばば」がこれ。
話は逸れるが、この言葉と同音になるのを避けるためか、京都では地名や人名の「馬場」を「ばんば」と読むことが多い。

○○●○
ばらずし【バラ寿司】
(名詞)

「ちらし寿司」のこと。

「やっぱりおばあちゃんの作るバラ寿司はいちばんやわ」

●●
~はる
(助動詞)

敬意を表す助動詞。語幹が1拍の動詞に付くときは「やはる」とも。
詳しくは「1-10 敬語と侮蔑語」を参照。

○○●○
はんなり
(名詞)

上品な華やかさ、明るさを表現する言葉。
元々「華(花)」を語源とする言葉であるという。

「いや、その服えらいはんなりしててええなあ」

●○○‐●●
ひがし‐いる
(連語・活用は5段)

東西の通りを東へ行くこと。また交差点を東に折れたところのこと。「東入ル」と記す。対義語は「西入る」

●○
ひち
(数詞)

「七」の訛。また「質」の訛。
特に「七」の方は、京都では「ひち」と発音する方が普通。

●●○○
ひっちょう【七条】
(固有名詞)

東西の通りの一つである「七条」のこと。「ひちじょう」とも。「しちじょう」→「ひちじょう」→「ひっちょう」と訛ったもの。
市バスでは「七条」を「ななじょう」と呼んでいるが、これは恐らく車内でのアナウンス時に「いちじょう」との聞き違いを防ぐために市バス独自に行っているもの(「一条駅」がなく聞き違える恐れがない京阪電車では、「しちじょう」と呼んでいる)。

(※参照⇒「いっちょう【一条】」/「はっちょう【八条】」

○○○●・●●●●
ひっつく
(5段動詞)

くっつくこと。

「何か背中に引っ付いてんで」

●●●●○○●○
ひょうしのひょこたん【拍子のひょこたん】
*1 (連語)

ほんのまぐれで事がうまくいくこと。

「ようあの試験受かったなあ」「拍子のひょこたんや」

○▼
ひょこ
(名詞)

将棋の歩(ふ)のこと。

「そんなにひょこを粗末にしてたら、勝てんで」

●●●
ひらう【拾う】
(5段動詞)

「拾う」の訛。
「はらう→はろうた」「ならう→なろうた」等からの類推で、過去形「ひろうた」から誤った現在形「ひらう」を導き出したものか。
元々「~ろう」で終わる動詞が「~らう」に転じた例としては他に「いらう(弄う)」がある。

「この時間、タクシーひらうのは大変やで」

●○○○
ひりょうず・ひりょうす【飛竜頭】
(名詞)

がんもどきのこと。ポルトガル語の "filhos" から来た言葉という。
この語は変種が多く、他にも「ひりゅうす・ひろうす」など。

○○
~ひん
(助動詞)

助動詞「へん」に同じ。“いの段”で終わる動詞に付くとき、「へん」は「ひん」になる。

(※参照⇒「~へん」

「目覚ましが鳴っても全然起きひん」

●●●
へきる
(5段動詞)

仕切ること。名詞形は「へきり」

「ここ光入ってきてまぶしいし、何かでへきっといて」

●○
ぺけ
(名詞)

「×」という印のこと。「○」の対義語。京都で「バツ」と言えば普通「罰」の意味。

「これから言うことに、丸かペケかで答えてください」

●●●
へしこ
(名詞)

イワシの糠漬けのこと。サバのことも。
ご飯と非常によく合います。

○○●○
べったこ
(名詞)

「べべ」の項参照。

●●●●●
へっちゃくり
*1 (名詞)

「~もへっちゃくりも」の形で用いる。「~もへったくれ」に同じ。

●●●
へつる
(5段動詞)

(他人の取り分を)かすめ取ること。上前をはねること。「へそる」とも。

また桂のアラQ様という方からお寄せいただいたお話によると、「炊飯器の蓋や釜の底についたご飯粒をきれいに取ること」という意味もあるそうです。なお舞鶴ご出身の奥様は「へしる」と仰るそうです*1

○▼
べべ
(名詞)

順番が最後になることを「べべになる」と言う。類義語に「べべた」「べったこ」など。

「いーや、また走りでべべになった」

○●○
べべた
(名詞)

「べべ」の項参照。

○○
~へん
(助動詞)

否定の助動詞。語幹が“いの段”で終わる動詞に付くときは「ひん」となる。また、語幹が1拍しかない動詞に付くときは「やへん」とも。
詳しくは「1-4.動詞」を参照。

○○○▼
へんねし *2 (名詞)

拗ねること。ヤキモキすること。

○●○
ぼーず
(名詞)

カブトムシのメスのこと。なおアクセントは●●●型であるとする書もある。
カブトムシのオスは「げんじ」と言う。

「ぼーずって、ゴキブリみたいであんまり……」

●●●
ほかす
(5段動詞)

捨てる。

「走りのごもく、ほかしといてな」

●●●
ほざく
(5段動詞)

つぶやく。ぶつぶつ言うこと。

「さっきから何ぶつぶつほざいてんにゃ」

●●●●
ほたえる
(1段動詞)

たわむれること。

○○●○‐○○
ほっこり‐する
(連語・活用はサ変)

疲れたとき、一仕事終えたときなどに言う言葉。
最近では「ほっと一息つく」という意味で使われることも多いが、これは誤用。 「ホッとする」という表現と語感が似ているせいで、意味が混ざったものか*7

「あぁ、ほっこりした」

●○○
ぼろい
(形容詞)
  1. みすぼらしいさま。「ぼろっちい」とも。
  2. 容易に手間以上の利益が得られること。話がうますぎること*1。ぼろ儲けの「ぼろ」か。
○○○○●‐○●‐○○●
ぼんさんが‐へを‐こいた
(連語)

東京の「ダルマさんが転んだ」にあたる言葉。「ぼんさん」とは「坊さん」のこと。最後の「こいた」の部分は「こいだ」となることもある。
この言葉は「ダルマさん」同様10文字だが、これの20文字バージョンとして「ぼんさんが屁をこいたら、においだらくさかった」というのもある。なお「においだら」については「におぐ」の項参照。

○○●○
ぽんぽん
(名詞)
  1. 裸のこと。すっぽんぽん。幼児語。

    「ぽんぽんになって、ちゃいちゃい入ろうな」

  2. 天花粉(ベビーパウダー)のこと*1。 擬態語から来た幼児語。
○○●
ほんま【本真】
(形容動詞・副詞)

「本当」に同じ。

「あの人の言うてることって、本真のこと一割もあらへんしなあ」

○○○○●
ほんまもん【本真もん】
(名詞)

「本物」に同じ。

「これって本真もんのダイヤなん?」

◎ま

●●
~まう
(5段動詞)

「~してしまう」などの「しまう」は、「し」を落として発音されることが日常会話では非常に多い。
~(して)もうた/●○○、~(して)まわん/●●●、~(して)まわへん/●○○○と活用させる。

「言うてまうで」「見てもうた」「早いことしてまわんと遅れるで」

○○○○●
まっかいけ【真っ赤いけ】
(名詞・形容動詞)

真っ赤っか。「真っ黒け」や「真っ白け」と韻を踏んだ言い方。

「夕日で空が真っ赤いけや」

○○●○
まったり
(名詞)

こくがあり、風味深い味のこと。
NHKの某アニメの影響か、「ゆったりする・くつろぐ・のんびりする」というような意味でこの言葉が使われることが多くなってしまったが、本来は味覚について述べる言葉。

「なかなかまったりした上品な味どすな」

●●●
まつり
(名詞)

言葉そのものは共通語のそれと同じだが、「まつり」という言葉から想起されるイメージが若干異なる。
おそらくたいていの地域の方は、「祭」といえば、「大勢で御輿を担ぎ、威勢よく町内を巡り歩く」といった類の、躍動感あるイメージを思い浮かべるところであろうが、京都の「祭」は、「平安貴族の格好をした人たちが笛や太鼓を打ちならしながら、ゆっくりゆっくりと街中を練り歩く」という、きわめて静的なイメージが強い。

●●●
まどう
(5段動詞)

弁償すること。「まどす」に同じ。

「あんだが壊したおもちゃ、ちゃんとまどてもらおか」

●●●
まどす
(5段動詞)

弁償すること。「まどう」に同じ。

○●○
まねし
(名詞)

「真似しい」が約まったもの。何かにかぶれていることや、そういう人のことを言う。
なお囃し立てる時は「まねしまんざい/○●○●●●●」とも言う。

「何それ。あの人のまねしやないか。まねしまんざい!」

●●●●●○○/●●●●●●●
まるたけえべす【丸竹夷】
(名詞)

京の東西の通りを北から南へ並べた有名な童歌。「まるたけえびす」とも。
「まるたけえべすに・おしおいけ・あねさんろっかく・たこにしき・しあやぶったか・まつまんごじょう」という。
これは北から「丸太町通・竹屋町通・夷川通・二条通・押小路通・御池通・姉小路通・三条通・六角通・蛸薬師通・錦小路通・四条通・綾小路通・仏光寺通・高辻通・松原通・万寿寺通・五条通」の頭文字を取ったもの。
かつてはこれに対して、南北の通りを歌にしたものもあったという。これは「てらごこふやとみ」の項を参照。

近年、五条より南の通りも含めた「まるたけえべす」が流布している。しかし上のように「まるたけえべす」とは基本的に通り名の頭一文字を羅列しただけであるのに対し、五条より南の通りも含めた歌詞は、「~越えれば」「~とどめさす」など、通り名に関係のない言葉が織り込まれているなど、明らかに五条以北とは歌詞の傾向が異なる。
また出来て歴史の浅い「十条通」が織り込まれているのも不審である(『角川日本地名大辞典』によると、十条通が出来たのは大正初年とのこと)。

※関連・「通り名読み込んだわらべ歌」(東京新聞2008年6月25日)

●●●●
みがいる【身が入る】
(連語・活用は5段)

筋肉が疲労してこわばり痛むこと。筋肉痛になること。

「昨日久しぶりにスポーツしたせいか、今日は身ぃいってかなん」

●●●
みかさ【三笠】
*6 (名詞)

どらやきのこと。

●●●●
みなづき【水無月】
(名詞)

和菓子の名。ういろうに粒あんを錬り込んだような感じのもの。その名の通り六月のお菓子。

●●●●‐●○○/○○○○‐●○○
みんぎり‐まわり
(名詞)

順番を決める時の特殊なジャンケン。
みんなで輪になり、この言葉を唱えながら各自グー・パー・チョキを思い思いに出し、独りだけ異なるものを出した人を起点にして、そこから時計回りに順序を割り振る。
なお「みんぎり」とは、「右」という意味する近世語「みぎり」の訛ったものと思われる。

「ほなみんぎりまわりで順番きめよか」

●○○
むいき
*1

「あらけない」と同義。

●●●○○ ※本来は●●●●○か
むつかしい【難しい】
(形容詞)

「むずかしい」に同じ。「つ」は濁らない。

「またむつかしいこと言わはるなあ」

●●●●
むつかる
(5段動詞)

「むずかる」に同じ。「つ」は濁らない。

●○○
めいぼ
(名詞)

ものもらいのこと。「めぼ」とも。大阪では「めばちこ」というらしい。

○○●‐●●○ ※本来
○○●‐●○○ ※現代京都
めぇが‐かたい【目ぇが‐固い】
(連語・活用は形容詞)

なかなか寝付かぬさま。また、なかなか寝ようとせぬことについても言う。

「子どものくせに目が固いやっちゃ」

●●
めん【雌】
(名詞)

動物や昆虫の「雌(メス)」のこと。

(※参照⇒「おん【雄】」

●○○ ※どちらも同じ
もうた・もうて
  1. 「もらう」の過去・完了形「もろうた」が、「もろた」を経由してさらに訛ったもの。東京で言うところの「もらった」に相当する。

    「おばあちゃんにこれもうたー

  2. 補助動詞「~しまう」の過去・完了形「~しもうた」の省略形。「~してもうた」の形でかなりよく使われる。
    「~してしもうた」という言い方は、この「~してもうた」という略し方の他に、「~してしもた」という略し方もされる。
    しかしいずれにしても、「しもうた」の部分が3拍未満になるような略し方(例えば「~してした」や「~してもた」等)はしない。

    (※参照⇒「~まう」

    「この本、ゆうべ一気に読んでもうた」「いっぺんに食べてもうたら、後でおなか減んで」

  3. 「舞う」の過去・完了形。

    「この部屋、無茶苦茶ほこりがもうてるがな。ちゃんと掃除してんの?」

●●○○
もっさい
(形容詞)

垢抜けせぬさま。

「なんかあんた、今日のかっこもっさいなあ」

◎や


  1. 断定の助動詞。共通語の「だ」にあたるもの。

    (※参照⇒「断定の『や』『にゃ』」

  2. 「~では」が、「~では」→「~じゃあ」→「~じゃ」→「~や」と変化したもの。
    ただしこの意味の「や」は、後ろに「ない」または「ない」と同じ意味の言葉(あらへん・おへん等)が続くときのみ使われる(それ以外の時は「じゃ」)。

    「それやない」「それやあらへん」「それやおへん」

●●●
やいと【灸】
(名詞)

お灸のこと。

「あんまり悪さばっかりしてたら、やいと据えるえ」

●●○○
やくたい
(名詞・形容動詞)

無茶して人に迷惑かけること。

「ほんまにいつまでたっても、やくたいなお人やわ」

●○
やす
(助動詞・活用は現在形「やす」・過去形「やした」・命令形「やす」・否定形「やさん」)

接頭辞「お」+動詞連用形+この「やす」で、敬意表現をなす。
命令形「やす」には助詞「や」が添えられることも多く、その際は約まって「やっしゃ」とも発音される。

「ごめんやす。おいやすか」「どうぞ、見しとくれやっしゃ」

●●●○○
やすけない
(形容詞)

下品な、品のないさま。

「あの人は、なんちゅうやすけないなりしたはるんや」

○●○ ※本来は●●○か
やつし
(名詞)

めかし込んだ人のこと。動詞形は「やつす」

●○○ ※本来
●●● ※現代京都
やつす
(5段動詞)

めかし込むこと。

(※参照⇒「やつし」

「そんなにやつしてどっかええとこでも行くん?」

○○
~やの
(接尾)

「~なの」の意味。「~なん」とは異なり、言い切り・質問どちらにも使われる。

(※参照⇒「~なん」「ん」

「そやの?」「これやっていうたらこれやの!」

●●●
~やはる
(助動詞)

助動詞「はる」の、語幹が1拍しかない動詞に付くときの形。

(※参照⇒「~はる」

「寝やはる」「出やはる」「こっちへ来やはる(きやはる)」

○○○
~やへん
(助動詞)

助動詞「へん」の、語幹が1拍しかない動詞に付くときの形。

(※参照⇒「~へん」

「見やへん」「出やへん」「いやへん」

●●
やり【槍・香車】
(名詞)

将棋の香車のこと。前方にしか動けない代わりに遠くの敵でもまっすぐ槍のように射抜くという、その動きからこう言うらしい。

「いやっ、角の頭にやり打たれた!?」

○○・○○○
~やん・~やんか
(接尾語)

それぞれ「~やない」「~やないか」の短縮形。反語的感嘆を表現するときに使われる。

(※参照⇒逆語彙集「うそやん」

「なかなか絵ぇ上手やん」「ものすごうおいしいやん」

●●●
やんぺ

大勢で遊んでいて、そこから抜ける時に言う言葉。こういう場合、最初に誰かが「一やんぺ(いちやんぺ)」と言うて抜けると、だいたい誰かが「二やんぺ(にいやんぺ)」「三やんぺ」と続けて、その遊びはお開きになる。
おそらく「止むべい」の訛。

(※参照⇒「知いらんぺ」

「やんぺ! これ遊んでてもあんまり面白ない」

●●
ゆか【床】
(名詞)

初夏から夏にかけて、鴨川縁にある飲食店が川辺に張り出す縁側部分のこと。ここでご飯を食べるのは一種のステイタスとなる。

●○○
ようけ
(副詞)

たくさん。「仰山」に同じ。

「そんなようけ食べたらお腹壊すえ」

●○○○
ようさん
(副詞)

たくさん。「仰山」の訛ったものか。もしくは「仰山」が「ようけ」の影響で変化したものか。

「ようさんの人が集まったはる」

●○
よる
(補助動詞・活用は5段)

「おる」に同じ。動詞の連用形に直接付くとき、「おる」はたいてい「よる」となる。
「しよる(しおる)」「来よる(来おる)」「言いよる(言いおる)」「泣きよる(泣きおる)」など。「いる(居る)」に付けて「いよる」ということも出来る。

(※参照⇒「侮蔑語」

●●●○‐○○○●
よろしゅう‐おあがり【よろしゅう‐お上がり】
(連語)

食後の「ごっつぉはん(ご馳走様)」に対する返答の言葉。おそらく「よろしゅうお上がりやした」がつづまったもの。

「ごっつぉはん」「はい。よろしゅうお上がり」

◎ら

○○○●
らんでん【嵐電】
(名詞)

京福電車嵐山線の略称・通称。

(※参照⇒「えいでん【叡電】」

○○●○
りっちゃん
(名詞)

立命館大学の学生さんのこと。

◎わ

●○
わや
(形容動詞)

無茶なこと。または台無しになること。

「そんなことしたら、せっかくの苦労がわやになるがな」

○○○●
わやくちゃ
(形容動詞)

「わや」の意味を強めたもの。「無茶苦茶」に同じ。

「あー、水こぼしてせっかくの絵ぇが、わやくちゃになってもうたあ」

◎ん


準体言「の」の訛。

「そうなん(そうなの)」「するんや(するのや)」「書いたん(書いたの=書いたもの)」

(※参照⇒「~なん」「~やの」

●○
んま【馬】
(名詞)

「馬(うま)」の訛。

●●
んめ【梅】
(名詞)

「梅(うめ)」の訛。

 市販の京言葉の本を丸写しにするようなことはしたくありませんので、思いつくたびごとに、ぼちぼち追加するという方針で作っています。