■最近の変化■

 明治以降に起こった比較的最近の変化についてまとめてみました。


文法・語彙に関する変化

「んかった」の台頭

 もともと動詞の否定過去は「なんだ」という助動詞をつけることによって表していましたが、最近では否定形「ん(ぬ)」に形容詞語尾「かった」をつけた「んかった」という助動詞が勢力を拡大しつづけています。

例:

  • 「せなんだ」→「せんかった」
  • 「言わなんだ」→「言わんかった」

 否定の助動詞「ん」や「へん」に形容詞語尾をつけるという語法は、今日なお拡大を続けているらしく、ごくまれに否定の助動詞「ん」に、形容詞の連用形語尾「く」をつけた「~んくなる」という言い方が聞かれることもあります。

例:

  • 「しーひんくなった(しいひんようになった)」

音韻・アクセントに関する変化

「食べる」「受ける」「起きる」等のアクセント変化

 今日の京阪神で○○●と発音されている「食べる」や「受ける」「起きる」等の動詞(3拍1段2類動詞)は、本来●○○というアクセントで発音されていました。

(例)本 来今 日参考(過去・完了形)
食べる●○○○○●食べた/○●○
受ける●○○○○●受けた/○●○
起きる●○○○○●起きた/○●○

 これらのアクセント変化は、いずれも過去・完了形のアクセントに引きずられて起こったものと思われますが、その時期については『初期落語SPレコードの大阪アクセント - 資料と分析 -』(金沢裕之・金水敏・中井幸比古)という資料が大変参考になり、だいたい明治の中頃からこのような変化が起こりはじめたようです。

 ちなみに高知は、今も京都本来のアクセント(●○○)が使われていることでよく知られています。

何でもかんでも“○●○”と発音する傾向

 古くは「テレビ」「ラジオ」、最近では「マクド」等、新語が生まれるととりあえず○●○と発音する傾向が京阪地方にはあるのですが、この傾向が勢い余って既存の言葉のアクセントまで変化させる例が最近顕著に見られます。

(例)本 来行き過ぎ
●○○○●○
朝日●○○○●○
●○○○●○

補注
 上の例のうち、「狸」と「朝日」については東京でも●○○と発音されるということが少なからず影響しているかもしれません。
 つまり、「京都のアクセントと東京のアクセントとが同じであるはずがない」という思いこみが、これらの言葉のアクセントをあらぬ方向に変化させているのかもしれません。


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