2-3. 「遅上がり」という発音癖~より京都人ぽくしゃべるためには~

目次


2-3-1 2つの発音癖

 京都言葉には発音上の特徴が2つあります。1つは有名な「1拍語の語尾を引く」というもので、これは「絵・木・手」など本来1拍である言葉を「えぇ・きぃ・てぇ」と、あたかも2拍語であるかのように発音することです。

 そしてもう1つの特徴、それがこれからとりあげる「遅上がり」といわれる現象です。


2-3-2 「遅上がり」とは

 現代の京都言葉では、単語のどこで音程が下がるかは重視しても、どこで上がるかは重視しません。そのため日常会話では、音程の上がり目が本来の位置より遅れて現れることがよくあります。この現象のことを「遅上がり」と言います。

表1 「遅上がり」の例
「今日は」 「海は」 「雀が」 「色紙」
本来形 ○●● ○●● ○●●● ○●●○
遅上がり形 ○○● ○○● ○○●●
○○○●
○○●○

 この「遅上がり」は名詞に限らず、第1拍目が低い拍[○]なら、すべての品詞・あらゆる状況に現れます。また「遅上がり」は単語をまたいでも起こります。

表2 単語をまたいで起こる遅上がりの例
書く + 人
○●+●○
起きる + 時間
○●●+●○○
本来形 ○●●○ ○●●●○○
遅上がり形 ○○●○ ○○○●○○

 先送りされた上がり目が具体的にどの拍に現れるかはまちまちです。たとえば「ありません/○●●●●」は、○○○○●と発音されることもあれば、上がり目を際だたせず、語尾に向けて段々と上り調子で発音されることもあります(京都ではこの「段々と」が多い)。

 もっともこの遅上がりも、延々と続くのではなく、文脈上区切りの良いところでやめにするのが普通です。

表3 遅上がりの解除位置
「ここに-いると-かぜひくで」
本来形○●●-●●●-●●●●○
遅上がり形○○○-●●●-●●●●○
○○○-○○○-●●●●○

 このように遅上がりというのはなかなか気まぐれなものではありますが、ひとまず「こういう発音癖がある」ということだけは覚えておいてください。
 なお当サイトでは、特に断り書きがないときは、原則として遅上がりを反映していないアクセントを表記しています。


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