■京都言葉と大阪言葉の違い■

京都言葉と大阪言葉の違い

京都言葉と大阪言葉との対比表
比較項目京都大阪
助動詞「はる」 はる  書はる はる  書はる
「来る」+「へん」
来(き)はせん → きやせん → ?
→ きやへん → きいひん
(順行同化。動詞の語幹は維持)
→ きやへん → けえへん
(逆行同化。動詞の語幹末が変化)
5段動詞の否定 へん  書へん へん  書へん
5段動詞の不可能 へん  書へん われへん  書かれへん
「そうや」の短縮形
(ヤが直前の[o]を[e]に変化させる。
次項のノヤ→ネヤも同じ)
「するのや すんにゃ
すん *1
(過去・完了形は「すんにゃった」、
推量形は「すんにゃろう」)
すんねや
すんねん
(過去・完了形は「すんねやった」、
推量形は「すんねやろう」)
「ました」のアクセント

「ました」の前で音程が下がる。

行きました (●●○○○)
ました (○●○○○)

「ま」の直後で音程が下がる。

行きました (●●●○○)
起きした (○○●○○)

「はった(「はる」の過去形)」
のアクセント

「はった」の前で音程が下がる。

言わはった (●●○○○)
はった (○●○○○)

「は」の直後で音程が下がる。

言わはった (●●●○○)
食べった (○○●○○)

「いる」にさらに「いる」を重ねた
「いてる」「いてへん」等の使用

本来使用せず。
(上の世代では「行ってる」の意味で
「いてる」が使われることあり)

頻用。
(明治期の落語にもわずか
ながら使用例あり)

助詞「から」のアクセント

平らに●●と発音するのが原則。

 棚から落ちて
(●●●●‐○○○●○)

京都と同じ音調に加えて、
カラのカにアクセントを置いた
●○という音調も併存。

 棚から‐落ちて
(●●●○‐○○○●○)

※元からあったのは●●のほう。
●○は近代以降に発生か。

「動物」「近鉄」のアクセント どうぶ (○○○●) ぶつ (○●○○)
「東京」のアクセント とうきょ (○○○●) とうきょう (●●●●)
さん付けとちゃん付け さん ちゃん
「なはる(なさる)」の命令形 なはい なはれ
麦粒腫(ものもらい) めいぼ(メーボ/●○○) めばちこ
比較項目京都大阪

 京都言葉と大阪言葉との違いの一つに、京都言葉は順行同化(語頭方向の音に合わせて語末方向の音が変化する)する傾向が強いのに対して、大阪言葉は逆行同化(語末方向の音に合わせて語頭方向の音が変化する)する傾向が強いという点が挙げられます。
 この現象は否定の助動詞ヘンや断定の助動詞ヤが続く時に顕著です。京都では「アラヘン・キイヒン」のように助動詞ヘンが付いても動詞の語幹は維持されるのに対して、大阪では「アレヘン・ケエヘン」のようにしばしば動詞の語幹末がエの段の音に変化してしまいます。
 助動詞ヤが付く時も大阪言葉では、「や→や」「や→や」んや→ん(や)」のように、助動詞ヤが直前の音をエの段の音に変化させてしまう傾向が見られます。

あとがき

 京都人は「京都」というくくりを重視するようなところがあり、京阪の言葉の違いについても敏感であったりすることが多いのですが、大阪の方は「大阪の言葉も神戸の言葉も京都の言葉もみんな同じ関西弁!」という「汎関西弁主義」的なとらえ方をしている方が多いという印象があります。あるいは「大阪≒関西」という認識をお持ちの方が多いということなのかもしれません。


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