1-6 助詞(間投助詞と終助詞)

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1-6-1 助詞〜間投助詞と終助詞

「な・ね・の(ん)・ぞ(ど)・で・え・い・わ・や・がな・いな・かいな・かい・け・よ」などがあります。

「な/●」「なあ/●○」 (名詞・動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・動詞の連用形・形容詞の終止連体形・副詞・助詞「の」・断定の「や・どす/です」の後など)

 京都でもっともよく使われる助詞で、「あんなぁ、その人がなぁ、言うたはったんやけどなぁ」というように文中いたるところに現れます。京都の「な」には共通語のようなぞんざいな印象はまったくありません。老若男女とも、また敬語の中ででも使います。

例:「しんどいなあ」「なかなかむつかしいもんですなあ」

「ね/●」「ねえ/●○」 (名詞・動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・副詞・助詞「の」・断定の「や・どす/です」の後など)

 使い方は「な」とまったく同じですが、使用頻度は「な」より遙かに落ちます。
 この「ね」という助詞は、共通語の影響で使われるようになったものと考える説が有力ですが、一方で、生粋の京ことばを話される相当なお年の方でも「そうどふね」という風にこの「ね」を使われることがあるので、なかなか一概には言えなそうです。

例:「うまいもんやね」「そやね」

「の(ん)/○」 (動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・断定の「や・どす/です」の後など)

 「そうなん?」「するん?」などと使います。共通語では「そうなの?」「するの?」というとやや女性語的な印象がありますが、京都では男女共通語です。
 なお会話では「ん」となることが多いようです。

例:「そやの?」「ほんまなん?」「これもろてえいの?」「明日デートなん」

「ぞ(ど)/○」 (名詞・動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・断定の「や・どす/です」の後など)

 共通語の「ぞ」と意味も使い方もほぼ同じです。かつては訛って「ど」となることもありました。

例:「よそ見してたら間違えんど」「しまいに怒んぞ」

「で(ぜ)/○」 (動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・断定の「や・どす/です」の後など)

 「ぜ」が訛ったものですが、使い方や意味はむしろ共通語の「よ」に通じます。そのため東京語の「何々しようぜ」のような、誘いかける用法はありません。
 年齢性別問わずよく使われますが、女性は普通、語感の柔らかい「え」を使います。

例:「そら、ないで」「そこにはありませんで」

「え/●」 (名詞・動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・副詞・助詞「の」・断定の「どす/です」の後など)

 共通語の「よ」に相当する助詞です。おそらく「よ」が (yo→ye→e) と変化したものでしょう。現代ではやや女性語的なニュアンスを漂わせる助詞ですが、元は男女ともに用いられたといいます。

例:「そうえ」「はよせなあかんえ」

「い/○」 (格助詞・断定の「じゃ」・助詞「わ」の後など)

 古語辞典で「い」を引くと、「中世以降『よ』が変化したもの」とあります。おそらくその「い」がこれでしょう。とはいえ今やほとんど死語化していて、「何じゃい」「誰じゃい」「するわい」などの限られた表現にしか使われません。

「わ/○」 (動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・断定の「や・どす/です」の後など)

 共通語と違い、京都では男女共通語です。

例:「もう行くわ」「よう言わんわ」

「や/●」 (動詞連用形や助動詞「やす」等、希求・勧誘表現の後など。ただし命令形につけるのは卑語)

 希求・勧誘表現の後ろに添えて、語調を整えたり意味を強めたりします。詳しくは「4.動詞」の「多様な連用形」の項をご覧ください。

「がな/○○」 (動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・断定の「や・どす/です」の後など)

 これは共通語にないので少し説明が難しいですが、だいたい「ってば」とか「ったら」と置き換えれば意味が通ります。

例:「あんたがすんにゃがな」「言われいでもするがな」

「いな/○○」 (格助詞・動詞連用形・断定の「じゃ」・助詞「わ」の後など)

 おそらく「よな」が変化したもので、意味を強調するのに使われます。ただし共通語の「よな/よね」ほど用法は広くなく、動詞連用形について「しいな」「やめいな」など「なさいってば」の意味を表す場合と、「なんでいな」「誰がいな」など格助詞について、共通語の「だよ」にあたる反語の意味を表す場合ぐらいにしか使われません。

「かいな/●○○」 (終助詞「か」と同じ位置)

 共通語の「っけ」「だっけ」に当たります。

例:「これ、何やったかいな」「今度の日曜て何日やったかいな」「次はあんたの番かいなあ」

「かい/●○」「かいな/●○○」 (終助詞「か」と同じ位置)

 ともに反語を言い表すとき使います。意味は同じですが、表現としては「かいな」の方が柔らかいようです。
 京都では「質問なら『か』、反語なら『かい・かいな』」という言い分けがされています。そのため共通語のように「そんなことするか」という文が「そんなことするの?」という質問を表したり、「そんなことするかよ」という反語を表したりすることはありません。

例:「誰がそんなこと言うかい」「それホンマかいな」

「け/●」 (終助詞「か」と同じ位置)

 意味は「か」と同じですが、こちらはかなりぞんざいな言葉です。
 この「け」を生理的に受け付けないと言う人も少なくありませんので、「意味は知っているけど使わない言葉」にとどめておいた方がよいでしょう。

例:「おまえ、これ要るけ?」「ふざけとんのけ?」

「よ/○」 (名詞・動詞と動詞型に活用する助動詞の終止連体形・形容詞の終止連体形・副詞・助詞「の」・断定の「どす/です」の後など)

 さてもっとも扱いに困るのがこの「よ」です。
 まず命令形に添える「よ」、たとえば「せい」や「見い」と言う場合の「よ」は、京本来の言い方と考えて良いでしょう。
 しかしそれ以外のところで用いられる「よ」、たとえば「〜する」「行く」等の「告知の『よ』」は、どうにも共通語臭い響きがあるのです。
 意味が「で」や「え」とまったくかぶっていることと、「そやで」とは言っても「そやよ」とは言わないなど接続の仕方に制限があることから考えるに、この「告知の『よ』」はおそらく共通語によってもたらされた言い方なのでしょう。
 とはいえ、「よ」が数々の古典文献で多用されているということは、元々この助詞が京都でも使われていたという証でもありますので、正確には「一度は死語化した言葉が共通語の影響でよみがえった」と考えるのが適当かもしれません。

表1 助詞の接続の仕方
の(ん)ぞ(ど)い・いながなかい(な)・け
名詞の後 ×××××
断定「や」の後 ×××××
丁寧「どす/です・
ます・おす」の後
××
動詞の後
(終止連体形)
形容詞の後
××
動詞の後
(連用形)
×××××××××
連体「な」の後 ×××××××××××
助詞「の」の後 ××××××

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